オムニチャネル戦略

究極の顧客至上主義をめざすアマゾン イー・ロジット代表取締役社長兼チーフコンサルタント 角井 亮一氏

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 好きな場所で商品の情報を集め、比較検討し、注文し、受け取る――。スマホの登場で可能になり、買い物や流通・小売業を一変させ始めたオムニチャネル。この連載では、米国のウォルマート、アマゾンや、日本のヨドバシカメラ、東急ハンズ、良品計画などの最新事例を、実地取材をまじえながら紹介し、その可能性や課題に迫ります。

ドローンで荷物をお届け

 アマゾンの2014年の売上は795億ドルで、過去3年で176%の規模に急成長しています。その成長性が、将来を期待する投資家から評価され、株価もこの10年で10倍以上になっています。さらに時価総額も、2015年7月23日に世界最大の小売業のウォルマートを超えました。また、全米に18万3100人働く物流施設を85カ所持ち、利便性を磨いています。

 一般的にオムニチャネルというと、実店舗を持つ小売業が、アマゾンなどのオンライン小売業に対抗するためにEC(電子商取引)を強化し、実店舗とECの融合を図るといった取り組みを想像してしまいます。しかし、最近はアマゾンをはじめとして、オンライン小売業が実店舗を持つ小売業やサービス業と提携して進めるオムニチャネルにも注目が集まっています。

 アマゾンといえば、「地球上で最も豊富な品揃えを誇る」と自負し、常にカスタマーセントリック(顧客至上主義)であり、長期的な視野で経営戦略を考え、発明をし続ける企業です。

 たとえば「アマゾン・プライム・エア」があります。ドローンと呼ばれる無人小型ヘリを使い、配送拠点から半径10マイル(約16キロメートル)以内の顧客の手元に、注文から30分以内で商品を届けるというものです。ネット上の動画をご覧になった方もいるかもしれませんが、このドローンは、無事、商品を注文者のもとに届けることができました。

 日本では、ドローンについてはその運用の安全性や、悪用されるリスクといったことに注目が集まっていますが、アメリカでも関係当局からの認可がおりるまでに少し時間がかかりそうです。

 また、最新のテクノロジーを駆使して、「アマゾン・ダッシュ」「アマゾン・ダッシュ・ボタン」「アマゾン・エコー」といった、注文手順の簡易化を目的に、注文機能に特化した端末を開発しています。スマートフォンでも可能な機能ですが、とにかくこれを使えば、必要とするものの注文があっという間に完了します。左のアマゾン・ダッシュ・ボタンは、それぞれのボタンを押すだけでアマゾンに注文ができます。家中に注文ボタンを付けられるのです。

 さらにユニークなものとして、一般人に自分の車を持ち込ませて配達をさせる実験や、アウディと組んで、車のトランクに届ける試みも始めています。クラウドソーシングで配達員を一般の人から調達するモデル(後述のインスタカートなど)はすでにありますが、アマゾンは、貪欲にチャレンジを続けています。

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