オムニチャネル戦略

打倒アマゾンへ背水のウォルマート イー・ロジット代表取締役社長兼チーフコンサルタント 角井 亮一氏

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 私は同社のECを、効率的なオムニチャネルの具体例と考えています。

巨大な店舗網をフル活用

 販売プラットフォームは「ウォルマート・ドット・コム」です。物流センタープラットフォームは、通販専用のDC(Distribution Center)が3カ所、店舗への供給経路である物流センターが158カ所あります。各店舗にある在庫の効率的な活用にも積極的です。配送プラットフォームは、宅配にも対応していますが、全米4000以上で可能な店舗受け取りのニーズは高く、田舎では54%、郊外52%、都市部37%の人が店舗受け取りを希望しているそうです。

 ウォルマートがECの巨人アマゾンに対抗する方策として特徴的なのが、既存の店舗網や受け取り専用の施設の活用ではないかと思います。

 たとえば「シップ・フロム・ストア」は、ネット注文品のピッキングを店舗で行い店舗から発送するという仕組みです。つまり、店舗をフルフィルメントセンターとし、配送拠点として活用していこうという考え方です。配送ルートを短縮化でき、コストの削減にもつながります。

 また、最近ではこの発展形として、大型店舗とその周辺にある中・小型店相互で商品在庫を共有化しようという試みも始めています。大型店舗と小型店ではそもそも在庫として抱えられるボリュームが違います。小型店では、動きの悪そうなもの、場所をとる大きなサイズのものは最初から在庫を持たず、もしその商品が必要になったときには大型店の在庫から移動してもらうという「テザリング」という考え方です。

 シップ・フロム・ストアにしても、テザリングにしても、それらへの対応が簡単にできるのは、ロケーション情報を含めた商品の在庫管理がリアルタイムに実現できているからです。ウォルマートのスマートフォンアプリは、GPSで店舗を特定し、商品を検索すると、陳列されている場所まではっきりとわかるそうです。商品画像、店頭売価、レビュー、通路番号が表示され、店内で商品をピッキングする際のサポートツールとしても活用できます。

 ネット注文商品を最寄りの店舗で受け取るというのが「サイト・トゥ・ストア(Site to Store)」です。店舗での受け取り手数料は無料です。受け取り専用のロッカーで受け取る場合は24時間可能ですが、店内カウンターの場合には10~22時に限定されてしまうという制約があります。それでも、ウォルマート・ドット・コムで注文した商品は7割が店舗での受け取りを希望するそうですから、それだけ足を運びたくなる店舗だと考えることもできます。

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