オムニチャネル戦略

打倒アマゾンへ背水のウォルマート イー・ロジット代表取締役社長兼チーフコンサルタント 角井 亮一氏

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 好きな場所で商品の情報を集め、比較検討し、注文し、受け取る――。スマホの登場で可能になり、買い物や流通・小売業を一変させ始めたオムニチャネル。この連載では、米国のウォルマート、アマゾンや、日本のヨドバシカメラ、東急ハンズ、良品計画などの最新事例を、実地取材をまじえながら紹介し、その可能性や課題に迫ります。

取り扱い商品1000万点めざす

 世界最大の小売業ウォルマートは、世界27カ国に1万1000店舗以上の店舗網を有し、2014年のアメリカ国内で売上3436億ドル(約41兆円)、世界では5084億ドル(約60兆円)を売り上げる、圧倒的ナンバー1です。その一方で、実はEC(電子商取引)市場においても、アマゾン(795億ドル)、アップル(206億ドル)に次ぐ世界第3位の実績(売上高121億ドル)を持つECの巨人でもあるのです(EC売上は、Internet Retailer"Top500guide,2015"より)。

 私は2015年6月にも、最新のオムニチャネル事情を視察にアメリカを訪れましたが、滞在期間中に複数のネット通販で商品を注文してみました。「ウォルマート・ドット・コム」でハーシーズのチョコレートを頼んでみたのですが、メールで連絡が来た受け取り予定日は注文から8日後で、あいにく日本に帰国する日の2日後でした。

 不便なことに、出荷後の注文キャンセルができなかったため、宿泊先のホテルのスタッフに食べてもらえばいいかと、荷物が届けられることを連絡したところ、なんとチョコレートはもうすでにホテルに着いていたのでした。メールで連絡を受けた日付より3日も前倒しでの到着。日本品質との違いを味わいました。

 全世界売上5084億ドル、営業利益170億ドル(約2兆円)、従業員数220万人、これが世界最大の小売業ウォルマートの事業規模です。同社では、2014年にCEO(最高経営責任者)に就任したダグ・マクミラン氏のもと、デジタル事業の強化を進めています。

 同氏がウォルマートでのキャリアを物流センターでスタートさせていたことも関わっているのでしょうか、今後ネット通販に関する大型投資を進めるにあたり、ネット通販専門物流センターのインフラ整備や調達網、技術開発に集中投資、既存の店舗網を活用しやすい配送体制を確立し、取扱品目を1000万点まで増やす計画といいます。

 ウォルマートが本格的にネット通販事業に乗り出したのは、2013年に通販専用の物流センターを設置したころからではなかったかと思います。「アマゾンはじめ、ネット通販に売上を奪われるぐらいなら、自らECを強化しよう」と全社ではっきり意識するようになり、直近の実績でネット通販の売上高は120億ドル強(約1兆5000億円)に達しています。アマゾンのEC売上高795億ドルとは大きな開きがあるものの、実店舗を持つ小売店のEC実績としてはメイシーズ(約54億ドル)と並ぶ2強といわれるまでになりました。

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