インダストリー4.0の全貌と日本企業の取るべき道

デジタル化で実現する圧倒的な機動力 ローランド・ベルガー日本共同代表 シニア パートナー 長島 聡氏

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 インダストリー4.0の核となる「つながる」「代替する」「創造する」は、10年後にどのような産業の革新を生み出すのでしょうか。それを考えるにあたってのキーワードは、「異次元の見える化」と「圧倒的な機動力の発揮」です。

 もちろん、単にIoT(モノのインターネット)ですべての生産設備や部品、半製品、製品をインターネットにつなげて状況をリアルタイムにつかめば良いということではありません。また、単に人に替わる、疲れず正確なロボットを導入することでも、再生可能エネルギーで環境にやさしい事業活動をすることでもありません。

3つの「異次元の見える化」

 重要なことは、「何のために見える化をするのか」「見えた結果を使って何を機動的に実現するのか」、さらに「一連の様々な活動で最終的に目指す企業、産業としてのゴールは何か」ということなのです。異次元の見える化と圧倒的な機動力を、大きなあるべきゴールへとしっかりとひも付けて、一つ一つ体系的に積み重ねることで初めて、産業を革新することにつながります。

 日本的に言えば、あるべき姿を見据えて、見える化でギャップを見つけ、機動力を発揮して、瞬時にかつ継続的に改善を進めるサイクル、PDCAを回していくことに他ならないのです。

 「異次元の見える化」とは、大きく分けると「需給連鎖の見える化」「価値創出連携の見える化」「将来ニーズの見える化」の3つを突き詰めることを意味します。これらをあたかも1つの机の上(データベース)にそろえた上で、自社の各組織・パートナーに使いやすく並べていくのです。

図表1 需給連鎖の見える化 出所:ローランド・ベルガー

図表1 需給連鎖の見える化

出所:ローランド・ベルガー

 1つ目は「需給連鎖の見える化」です。材料メーカーから自社そして顧客にわたるサプライチェーン上にある設備の稼働状況や、材料、部品、半製品、最終製品といったモノの流れに関する未充足ニーズすべてを、リアルタイムに隅々まで把握して、蓄積していきます。設備の稼働状況は、製造品目の入れ替え、それに伴う段取り換えの時間、品目ごとの生産性、そして設備の各消耗部品の消耗度、さらにはオペレーターの工数、消費電力量、物流会社の生産性など様々な項目に及びます。

 油圧機器の電動化や再生可能エネルギー利用の促進による環境負荷の低減なども重要な取り組みです。一方、モノそのものの流れについては、上流側から見た供給側の在庫状況にとどまらず、お客様を代表とする下流側から見た需要状況、そして各サプライチェーンのタスクにかかる時間、例えば、組み立て、輸送、メンテナンスなどにかかる時間を含みます。

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