スーパーパワー Gゼロ時代のアメリカの選択

アメリカは「マネーボール」式で復活できる ユーラシア・グループ社長 イアン・ブレマー氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 Gゼロ時代に突入し、アメリカが世界を主導する力は以前ほど絶大ではなくなってきたが、しばらくはアメリカが唯一の「スーパーパワー(超大国)」であることに変わりはない。アメリカは今後、世界を舞台にどういった役割を演じるのか? 他国の問題解決から手を引いてしまうのか? グローバル・リスク予測の第一人者であるユーラシア・グループ社長のイアン・ブレマー氏が、世界のあらゆる地域に影響を及ぼすアメリカの外交戦略を3つの選択肢で示す。

 ブレマー氏が示す第2の選択肢は、貧乏球団アスレチックスを常勝チームに変えた実話に基づく小説『マネーボール』に学ぶことだ。すなわち、最小の投資で最大の効果をあげるため、超合理的で冷徹な現状分析に基づき、自らの国益にかなう政策を実行していくというものである。

孤立主義は幻想に過ぎない

 アメリカの外交政策は、アメリカがより安全で豊かになるように設計されるべきだ。そして遠く離れた地についても、何のコストもリスクも受け入れなくても、アメリカが自らの利益を守り、より豊かになれると思うのは愚かなことだ。前章で述べた考え方では、「独立するアメリカ」を造ることができない。あれは「孤立アメリカ」であって、「丘の上の輝ける都市」としてのアメリカと言っても、その丘は空想に過ぎない。世界にはやるべきことがあり、それをアメリカがすることは国益にもかなっているのだ。

 アメリカの国家安全保障を守るには、意志と能力を有し、志を同じくする者との連合をアメリカ政府が率いて、核兵器の拡散を防止し、アメリカ本土へ壊滅的な攻撃をする手段がテロリストの手に渡らないようにするため、あらゆる手を尽くさないといけない。

 アメリカ経済の運命は世界経済の運命と結びついている。だから、アメリカの外交政策は、戦争のリスクをできるだけ減らすこと、そして貿易・投資を通じてできるだけ多くの国が安定を志向するようにすることを通じ、世界の経済成長を促進しないといけない。国内の繁栄を守るには、新しい貿易・投資上の結びつきを形成していくのだ。そして、こうしたすべてを賄える範囲内で行わないといけない。

 選挙で選ばれたアメリカのリーダーたちが、国民の支持なく野心的な外交政策を行うことができないのは事実だ。だが、現在その支持がないとすれば、それは我々の選良たちがある課題について、なぜそれをしなければいけないのか、なぜアメリカがするのか、そしてそれがどう我々の利益につながるのか、きちんと説明してこなかったからだ。

 アフガニスタンとイラクが、国外における高くつきかねないコミットメントを忌避するように国民を仕向けている。だが、あの拙い計画に基づく外交政策上よりましなことが、我々にできないというわけではない。我々は、未来から逃げることはできない。さらなる脅威、さらなるコスト、さらなるチャンスがある。そしてアメリカの政策決定者には、それらに立ち向かっていく用意がなければならない。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。