知的生産経営

情報共有の前に必要な「意識の共有」 ナレッジマネジメントを成功に導くカギは人間系の改革 日本能率協会コンサルティング R&D組織革新センター チーフ・コンサルタント 塚松一也氏

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 4つめは、組織構成員の教育です。ここでいう教育は、コンピューターリテラシーだけでなく意識(マインドセット)も含みます。リテラシー教育は、AND検索とOR検索という基本から始めて、検索結果が多い場合の絞り込みのしかた、検索結果が少ない場合の拡張のしかたなどを、きちんと押さえておくことが大切です。インターネットネイティブな若い人でも意外と絞り込み検索・拡張検索のしかたを知らないという話も耳にします。

共有する文化を全員で育む

 その上で、教育の本丸は意識(マインドセット)を啓発するところにあります。情報・知識を共有し活用するということの大事さを先輩が新人に説き導くということが大切です。この意識教育がなおざりになっている会社が少なくありません。貴方の所属する組織では意識教育はなされているでしょうか。

 最後は、情報・知識を共有化する基本動作・文化・雰囲気をみんなで育むということです。情報・知識の共有化の基本動作ができている人に感謝し、できていない人やサボりがちな人に対しては"チクリ"と言うということです。最初から、関係者全員が情報共有化の基本行動ができるわけではありません。その組織の文化・雰囲気を、皆で作っていく、育んでいくということが最大のポイントだと私は考えます。「少しずつでいいから、知識・情報共有しようよ」と励ましあい、勇気づけあっていくという相互のケアこそが最大の成果につなげるポイントだと考えます。

 おわりにもう一度繰り返します。KMは、情報共有化の重要性を組織構成員に働きかけるところに本質があります。ゆえに、ナレッジマネジメントは"マネジメント"なのです。「うちの組織は情報共有化ができていないからな~」と嘆いているマネジャーは、実は「意識を高めることをしていない」ということを吐露していることに他なりません。

 組織構成員の意識の低さを嘆くのではなく、少しでも意識が変わるように働きかけていくこと、その丁寧さ・粘り強さこそが、KMの成功の鍵なのです。KMをICTの問題ではなく、人間系の問題として捉えなおせば、成功のキーファクターを見出すことができるように思います。

塚松 一也(つかまつ かずや)
日本能率協会コンサルティング R&D組織革新センター チーフ・コンサルタント

R&Dの現場で研究者・技術者集団を対象に、ナレッジマネジメントやプロジェクトマネジメントなどの改善を支援。変えることに本気なクライアントのセコンドとして、魅力的なありたい姿を真摯に構想し、現場の組織能力を信じて働きかけ、じっくりと変革を促すコンサルティングスタイルがモットー。ていねいな説明、わかりやすい資料づくりをこころがけている。

 同社ホームページでコラムを連載中。

キーワード:経営、企画、経営層、管理職、プレーヤー、技術、イノベーション、IoT、ICT

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