知的生産経営

情報共有の前に必要な「意識の共有」 ナレッジマネジメントを成功に導くカギは人間系の改革 日本能率協会コンサルティング R&D組織革新センター チーフ・コンサルタント 塚松一也氏

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 冷静に考えればわかりますが、KMはICTツール(コンピューター・システム)の活用によって成果が出るものではなく、共有化された情報・知識を他の誰かが利活用することで成果につながるものです。コンピューターによる自動化等によってメリットがもたらされるのではありません。

便利さが成果の本質ではない

 コンピューターによって、情報・知識の検索性は高まって便利になりますが、その便利さが成果の本質ではありません。共有された情報・知識と、それを利活用する意識のある人間系が成果を生むというのが理屈です。同じICTツール・システムでもうまくできているところもあれば、使われていないところもあるのは、そのような人間系を育むことができているか否かの違いだということです。

 10年ほど前までは、年配者の方がパソコン操作に慣れていないこともあって、それが情報共有できない原因のように言われていましたが、さすがに今はそんなことはありません。つまり、今日的には、情報共有化ができていないのは、ICTツール・システムの問題でもなければコンピューターリテラシーの問題でもなく、ピュアに組織構成員の意識の問題なのだといえます。

 では、KMを成功させるには何が必要なのでしょうか。それは、組織構成員の一人ひとりの情報の共有化・蓄積の意識を高める継続的な努力に尽きます。これが本質です。共有化意識の高い人間集団を形成していくことこそがマネジメントの仕事です。KMブームが過ぎ去った今、あたりまえに情報共有化している組織と、あまりできていない組織に、大きく二極化しているように私は感じています。何の違いが現場に表われているのかと言えば、まさにその"情報共有化の意識"の差がはっきりと表われているのだとみています。

 KMを成功に導くポイントを以下にいくつか挙げます。

 ひとつは、「情報・知識を共有していこう」というリーダーシップです。KMが騒がれた15年程前はトップのリーダーシップが重要と言われていましたが、実はリーダーシップを発揮すべき人はトップとは限りません。トップのリーダーシップがあったほうがより短期間で効果的であるとは思いますが、トップでなくてもリーダーシップを発揮することはできます。

 トップは自分自身が提案書作成や現場実務を実施する張本人ではありません。KMの恩恵を直接受けるわけではありません。むしろ、現場実務を担う現場のキーマンが「提案書を共有化しよう!」などと呼びかけるほうが現実的です。トップが呼びかけても現場のキーマンがそっぽを向いているような組織ではうまくいっていません。

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