知的生産経営

情報共有の前に必要な「意識の共有」 ナレッジマネジメントを成功に導くカギは人間系の改革 日本能率協会コンサルティング R&D組織革新センター チーフ・コンサルタント 塚松一也氏

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 急速な技術革新や新興国企業の台頭、多様化する顧客ニーズ――。複雑さを増す経営環境を乗り切るには、限られた人材や資金、時間を効率よく活用する知恵や工夫、いわば「知的生産経営」が求められる。従来の常識を超え、新たな価値を生み出す知的生産経営とはどうあるべきか、さまざまな切り口から考える。

 1回目はナレッジマネジメントを本当に機能させるために必要な条件について、日本能率協会コンサルティング R&D組織革新センター チーフ・コンサルタントの塚松一也氏に解説していただいた。

ナレッジマネジメントが陥りやすい罠

 一般に、ナレッジマネジメント(以下KM)とは、個人の情報・知識を組織で共有・活用することで仕事の品質や効率を上げようという取り組みです。本来的なKMでは、「暗黙知をどう形式知にするか」「共同体験の場をいかに仕掛けるか」というような点も非常に重要ですが、本稿では少し狭義に情報・知識の共有化・活用にフォーカスしてその成功・失敗の要因を考察してみるようにします。

 あらためてKMという呼称を考えてみると少し不思議な感じがします。コストダウン、期間短縮、提案力強化等の多くの他の経営の取り組みと異なり、KMはなんら目的表現でなく"ナレッジ"という手段系を冠しているだけです。このことはすなわち、KMは、その目的(つまり期待する成果)を、自ら設定し強く意識することが必要な取り組みだということです。目的から議論する必要があるのです。

 たとえば、営業部門であれば提案書という知識を共有化することが典型的なKMの取り組みなのですが、「ファイルをためること」自体が目的ではありません。蓄積された提案書を再活用したり、加筆修正したりすることで、営業成果につなげる、営業効率を高めるということがKMの目的であるはずです。その目的、つまりはKMに取り組む意義について、組織構成員に周知し共通認識できている状態にすることが極めて重要になります。

 また、KMはICT(情報通信技術)ツール・システムの導入問題として捉えられがちという悩ましさもあります。文書管理システムやグループウェアなどを導入して終わりという会社も少なくありません。「ツールは入れたのですが、あまり使われずに、閑古鳥が鳴いています」という話を耳にすることがあります。なぜそうなってしまうのでしょうか。

図表1 ナレッジマネジメントは人間系の改革が本質

出所:日本能率協会コンサルティング

出所:日本能率協会コンサルティング

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