知的生産経営

本業を磨き上げるためのクラウドソーシング 若手ベンチャー経営者、外部リソースを積極活用

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 坂西社長は2000年代初めごろ、米国でオンラインマーケティングの仕事に携わり、その時にクラウドソーシングの存在を知った。当時から翻訳サービスの事業を構想していたが、機械翻訳のソフトだけではすでに競合製品が多く収益性が低い。一方、翻訳を請け負う従来型の会社では人件費コストが高くなってしまう。「クラウドソーシングを使えば、翻訳ツールと専門家をミックスしたサービスが展開できる」と考え、2009年に同社を設立した。

社員はアプリケーションの改善に特化

 実際にクラウドソーシングを利用するサービス上のメリットとして、坂西社長は大きく3つの点を挙げる。1つはスピード。たくさんの翻訳者を抱えることで、時間に余裕のある人に依頼でき、メールなどの短文であれば数十分で翻訳してもらえる。2つ目はネットを使うため、場所を選ばないこと。日本全国、さらには海外に住む人材も活用できる。また、休暇中や出張中の人でも空いた時間に仕事をしてもらえる。3つ目は多様性。タガログ語やスウェーデン語といった言語にも対応できるほか、科学や法律など専門分野に強い人もそろえられる。

 さらに経営上のメリットとして、八楽本体が「アプリケーションの改善に特化できる」点も指摘する。本体の従業員はわずか20人弱。大半がシステム技術者で、翻訳エンジンそのものの改善や、ユーザーの使い勝手の向上、新たなサービスの開発などを手掛ける。本業の強みを最大限発揮できる体制が整っているわけだ。

 もちろん、課題もある。翻訳者として登録してもらう際には、能力テストを実施しているが、それでも翻訳の品質やスピードにバラつきが出る。特に、企業が顧客となる場合、大量の翻訳文でも品質を維持してほしいというニーズが多いという。このため、今後は一定のレベル以上の人材をグループにして、特定の顧客を担当する「マイクロソーシング」といわれる手法も検討していく方針だ。

 企業が自ら専門家を集め、業務を依頼するタイプの代表例が、ヘルスケアサービスを手掛けるFiNC(フィンク、東京・千代田)だろう。フィットネスクラブのトレーナーだった溝口勇児社長が2012年に設立。スマートフォンのアプリを使い、企業の従業員や健康に課題を抱える個人をサポートするサービスで成長している。

 現在、スマホの健康アプリは多くの企業が提供している。「当社のサービスは徹底したパーソナライゼーション(個人への最適化)と、操作の手軽さにより、長く継続してもらえるよう工夫した点が強み」。同社オンラインワークス事業部長の近藤隆雄氏は語る。このパーソナライゼーションを支えるのが、「FiNCオンラインワークス」と呼ぶクラウドソーシングの仕組みにほかならない。

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