知的生産経営

「巧い、速い」を磨き、大企業にない価値を インダストリー4.0 中小企業の飛躍に向けて ローランド・ベルガー代表取締役社長 工学博士 長島 聡氏

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 また、お客様のあいまいなニーズを汲み取り、最適な設計図に落とし込むといった、おもんぱかる能力を突き詰めるのも良いでしょう。つまり、単に安いでなく、どちらかと言えば、巧い、速いを追求するのです。職人の技術を注入した加工機や道具を最大限に活かしたものづくりを究めていきます。また、従業員同士のあうんの呼吸を会社全体に広げて、全社一丸となって大企業にはないスピードを実現していくのです。

図表1 目指すべきNo.1の要素技術

出所:ローランド・ベルガー

出所:ローランド・ベルガー

 もう10年以上も前から、スピードを突き詰めている中小企業が東北地方にあります。精密機械加工のアイオー精密(岩手県花巻市)です。400人の技能スペシャリストが700台の工作機械を使い、様々な部品を超高速に納品しています。各種電子部品を15時までに注文を受けると、翌日の8時までに納品するという速さです。しかも、完成品在庫を持たずに、原則受注してからの生産で実現しているのです。

 受注から納品までの流れは長期的な受注・納入経験の積み重ねに基づいて組まれています。ITシステムはバーコードによってトラッキングされている製品が示す各設備の稼働状況など限定的ですが、空き設備と空きスペシャリストの見える化により、どの設備で誰が加工すべきかを瞬時に見極めることができるようです。

自らの存在を知らしめる

 次に大事なことは、自社の存在を周囲に認知させることです。自らの持つ要素技術を「分かりやすい形」にしてお客様に伝えることです。見せ方に徹底的にこだわる必要があります。

 自社の持つ要素技術のうち何をNo.1として打ち出すべきかを決める際、競合が誰かをしっかりと意識して、何がどのくらい競合に対して勝っているかを理解していることが大事です。また、そのNo.1を社員の共通認識に高めて、常に全社員が自らの行動で示すという意識を持つことも重要です。

 さらに、お客様や取引先が面白いと感じる、No.1を語れる「象徴としての製品」を持つことが必要です。周囲との対話の際、自社のNo.1の要素技術を深く記憶に残すことが可能だからです。

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