知的生産経営

トップセールスのプレゼン資料はなぜ回し読みされるのか? カーナープロダクト代表取締役 横田 雅俊氏

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トップセールスの「顧客に捨てられない資料」7つのステップ

(出所)カーナープロダクト

(出所)カーナープロダクト

 表紙は、プレゼンの内容と価値がイメージできるタイトルや写真を記載します。カットインとは、顧客が話を聞いたり、質問に答えたりする価値を感じさせる部分です。「こんな取り組みで電気代が30%も削減できた事例があるんですよ」と言って事例を提示したり、「こういうことをご存じですか」と聞いたり、問題提起しておいて「私なら助けになれます」と持ちかける「恫喝(どうかつ)と救済」といった、いわば"掴(つか)み"を入れます。

 次のメリット提示では、必ず複数のメリットを用意します。多面的に提案することで、顧客の反応を見ながら、関心事を探ることができます。仮に関心がない場合でも「なぜ関心がないのか」尋ねることによって新たなテーマが見つかるでしょう。そうすることで、次回の宿題や話題を見出すことができるため継続アプローチにつなげられます。あらかじめメリットを複数提示しておくことは、顧客側の担当者が社内のさまざまな関係者を説得する際にも、効力を発揮するはずです。

 極論すれば、商品の説明は不要です。営業マンにとって商品を売るのは目的ですが、顧客にとって商品を買うのは手段にすぎません。商品はあくまで相手のメリットを裏付ける証拠でしかありません。このギャップを理解したうえで、商品の特徴を顧客のメリットに変換して伝えることが重要です。

 5つ目の競合比較は、新規開拓や深耕営業では特に有効です。なぜ再度会う必要があるのか、既存の取引先ではなく、比較検討する価値があるのはなぜかを実感させることが不可欠だからです。特に数字や客観的な指標を入れて、顧客の稟議書に添付されるような資料を目指します。社内の検討資料に使われるようなプレゼン資料は、捨てられない資料です。

 クロージングは、時間軸を顧客に植え付けるページです。顧客から「検討します」と言われた後、いつまでたっても連絡がない、という経験が営業マンにはあるはずです。どんなスピードと流れで検討し、いつ回答するのかを顧客と共有しなければ、「検討」という断り文句の餌食になってしまいます。そのために、プレゼンの次のステップに進むための"時限装置"を資料に組み込んでおきます。例えば、購入するプロセスとその場合の必要期間を記しておいて、「来年の3月末までに稼働させるためには、12月までには設置テストが必要なので、遅くとも5月には契約締結が必要です」と言って時間を逆算して提案します。まだ正式検討段階ではない場合は、「仮に話が進んだ場合ですが」と言って前置きすれば、時間的な要素を話しても違和感はありません。

 こうした考え方は、顧客向けの資料だけでなく、社内の企画書や会議資料にも役立ちます。あえて付け加えるなら、誰もが当然と思っていることを改めてメリットに変換して書くことを心がけましょう。同じ社内でも、価値観や優先順位は、部門や立場によって様々です。感情移入に基づいて、それぞれの関係者にとってメリットが感じられる表現やテーマと関連付けましょう。「やらないリスク」を明確にすることも役立ちます。比較検討の際に、考慮すべき情報を積極的に提示することで、合理的で価値ある判断に導くことができます。

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