知的生産経営

トップセールスのプレゼン資料はなぜ回し読みされるのか? カーナープロダクト代表取締役 横田 雅俊氏

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なぜ"捨てられない"視点からの資料づくりが必要なのか?

 顧客相手のプレゼン資料を作成する場合、わかりやすく、うまく書こうと考えても、「捨てられないようにしよう」という視点から準備する人はなかなかいません。1年間で何百というプレゼン資料を見ますが、そういう視点でいいなと思うものはごくわずかです。ほとんどは、自分が言いたいことだけを列挙した自己満足的な資料です。顧客が「読みたい」「読む必要がある」と感じないプレゼン資料には存在価値がありません。

 なぜ"捨てられない"ことを意識する必要があるのでしょうか?これはプレゼン資料の役割の変化とも関係しますが、一般に顧客が意志決定に至る過程は複雑になり、これまで以上に時間がかかるようになっているからです。

 顧客が瞬時に判断しない理由は2つあります。失敗したくないというリスク回避と、キーマンの複数化です。失敗のリスク回避には、現代特有の現象が見られます。インターネットにあふれる膨大な情報のために、「知る」ことはできても、「判断する」ことができない人が増えているのです。情報が多すぎて、何が正しいのかがわからなくなってしまう。購買ニーズは日々変化し、継続的な検討を必要とします。そのため、顧客はすぐに決定することができません。即断即決そのものが「リスク」だと考えられるようになっているのです。

 キーマンの複数化は、特に法人向けの営業では顕著な傾向です。企業が意思決定する際に登場する関係者の人数は飛躍的に増えています。登場人物が多いということは、それだけ多様な価値観が存在するということ。口頭の提案や見積もり程度の資料では、検討がスムーズに進むはずがありません。関係者全ての「後押しにつながる」、誰もが納得するための提案資料が必要なのです。

 ではどうすれば捨てられないプレゼン資料を作ることができるのでしょうか?顧客に捨てられない資料には3種類あると考えています。まず、ためになる情報が載っていて、顧客に「もう1度読みたい」と思わせるもの。次に、顧客に「もう1度読まなければいけない」と思わせるもの。法規制に関連する提案や、後日必ず必要になるテーマを扱った資料などです。最後に、顧客が「もう1度使う」もの。私どもは3番目を1番意識しています。法人営業などで、顧客の担当者が稟議(りんぎ)書を書く際に使う情報やデータが載っているものを想定しています。これがまさに「気づき」と「後押し」につながる資料だからです。

 資料を作る際には、まず「誰が言うか」、つまり、どういう立場の企業や担当者が提言するのかを考えます。既存の取引先に言われて納得することでも、まだ取引がない段階で言われると腹が立つことがあります。例えば現状の設備やシステムの改善点の指摘は、新規のプレゼンでは十分注意して述べるべきでしょう。自分の役職や立場、自社の市場でのポジション、過去のアプローチの頻度や関係性を考慮して、資料のトーンを調整します。

 プレゼン資料は(1)何を、(2)どんな順番で、(3)どのように言うかを組み立ててから具体的な作成作業に入りましょう。資料の骨格を、手書きでもいいので箇条書きにして、必要なコメントやデータ、写真やイラストもメモしておきます。こうすることで、戻り仕事が減り効率よく資料を作成することができます。

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