訪問しなくても売れる!「営業レター」の教科書

お客様はこんな「自己紹介文」に弱い! 営業サポート・コンサルティング株式会社代表取締役 菊原 智明

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 基本的にはどんなエピソードでもいいのだ。自己紹介文の目的は、自分をさらけ出したうえで、自分とのつき合いがお客様にとってメリットがあると感じてもらうことだ。たとえばこんなものはどうだろうか?

 私も以前から○○を使っていますが、その商品のよさを毎日実感しています。

 このよさを1人でも多くの方に伝えたくて、この仕事をしております。

 その意味では、「気持ちをこめて書くこと」もポイントになる。

 気持ちをこめて書いた自己紹介文は、間違いなくお客様の心に響く。ぜひ、あなたも気持ちをこめて自己紹介文を書いてほしい。

私が住宅営業になったきっかけ~自己紹介にかえて~

 私は公社で分譲したコンクリートブロックの平屋の家で生まれ育ちました。33年前の話です。

 冬は比較的暖かいのですが、夏は死ぬほど暑い。今の家のように通気性などはまったく考えられていませんので、窓を開けても風は通りませんでした。というか窓のない部屋もありました。しかし、構造面はしっかりしていたので、安心した生活を送ることができました。

 私が6歳の頃に妹が生まれ、20坪の我が家は手狭になってきました。そこで、私の父は増築を考えるようになりました。当時は住宅展示場などありませんから、親戚のつてで、ある工務店さんに増築工事を依頼しました。

 しかし、やっとのことで完成した10坪の増築部分は、今でいう欠陥住宅だったのです。気づいたのは増築後1~2年でしょうか。まずは引き戸の開閉が困難になってきました。

 その後は「床なり」「床の沈み」「壁の隙間」など、さまざまな問題に苦しめられました。もちろん建築した工務店には修理を依頼しましたが、手直しに来ることはありませんでした。

 私が高校生になる頃、近くに新幹線が通ることになりました。そこで起こったのが家の揺れです。なんと新幹線が通るたびに増築部分だけグラグラと揺れるのです。家族間でいろいろと悩みましたが、だれも助けてくれません。工事した工務店は、すでに倒産してました。

 大学へ進学した私は、実家からは離れました。一人暮らしの大変さ(掃除、洗濯、料理など)が身に染みてわかり、母親を自然に尊敬できるようになったものです。学生時代は実家に帰ることも少なくなりました。そんななかでも、実家に帰るといつも気になることがありました。

 見るたびに増築部分がヒドくなってきているのです。あるときフローリングの上に厚手のカーペットのような物が置いてありました。私が理由を聞くと「床が抜けそうなのでとりあえず置いた」というのです。

 「床にバネが入っているみたいだろ?」と笑いながらいう母親の目は悲しそうだったことをよく覚えています。私や母より悔しい思いをしたのは父です。それほど多くない稼ぎのなかから必死で貯めたお金でつくったのですから。

 当時、私の大学の専攻は工学部の機械科。住宅とはまったく関係ない世界です。しかし、この増築部分の経験から「こんな思いはしたくないし、させたくない」と強く心に思ったものです。

 機械関係の会社も何社か受けましたが、どうしても住宅のことが頭から離れませんでした。私は大学からの推薦をすべて辞退し、住宅営業の世界に飛び込むことに決めたのです。その後15 ~ 20社を見学し、8社の入社試験を受けました。そしてこの○○ホームへの入社が決まりました。

 私の会社は工場生産が主です。「これなら欠陥住宅にはならないし、自信をもってすすめられるぞ」と当時何も知らない私にも感じるものがありました。それから早○○年。お陰様で○○棟以上のお客様の家づくりのお手伝いをさせていただきました。毎年年末にはカレンダーを持って訪問しています。住んでいただいているお客様が安心して暮らしているのを見て、いつも幸せな気分になります。

 私も3年前から私の会社の家に住んでいますが、本当に快適です。心からこの家にしてよかったと思っています。

 これからも皆様のよい家づくりのお手伝いができるよう、よりいっそう精進していきます。
菊原 智明著 『訪問しなくても売れる!「営業レター」の教科書』(日本経済新聞出版社、2016年)第2章「お客様との信頼関係がラクに築ける!――『アプローチレター』」から
菊原 智明(きくはら ともあき)
群馬県高崎市生まれ。工学部機械科卒業後、トヨタホームに入社し、営業の世界へ。自分に合う営業方法が見つからず7年もの間、クビ寸前の苦しい営業マン時代を過ごす。お客様へのアプローチを訪問から"営業レター"に変えたことをきっかけに4年連続トップ営業マンに。約600名の営業マンの中においてMVPを獲得。2006年に独立し、営業サポート・コンサルティング株式会社を設立。上場企業への研修、コンサルティング業務、経営者や営業マン向けのセミナーを行う。2010年からは関東学園大学で、全国でも珍しい"営業の授業"を行う。また、社団法人営業人材教育協会の理事として、営業を教える講師の育成にも取り組んでいる。2015年までに48冊の本を出版。ベストセラー、海外で翻訳多数。

キーワード:プレーヤー、マーケティング、営業、企画、経営

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