これなど自分勝手な一方通行のアピールにすぎないし、仮にあなたを知ってもらったところで、たいした効果は望めない。一番大切なのは、自己紹介を物語にして、あなたのことをよく知ってもらったうえで、
あなたのエピソード(物語)がお客様にとってどうメリットになるのか?
という点を伝えることなのだ。
残念ながら、お客様はあなたのことには興味がない。興味があるのは、あくまでも「その営業マンとつき合って自分にどうメリットがあるのか?」ということなのだ。
■じつに単純!お客様はこんな「自己紹介文」に弱い
お客様が営業マンから感じるメリットとは何か? お客様は、「いい営業マン」から商品を買いたいと思っている。では、いい営業マンとはどんなものか?
成績のいい営業マンという場合があるかもしれない。商品知識が豊富な営業マンという場合もあるだろう。しかし、お客様の意見として意外に多いのが、「自社の商品に対して思い入れが強い営業マンから買いたい」というものだ。よく考えてみれば、これは当然のことかもしれない。
お客様にしてみれば、何も自社の商品を嫌いな営業マンから買いたいとは思わないだろう。だからお客様へ、「商品に対するあなたの思い」を伝えることが大切になる。
ここで次ページにある私の例を見てほしい。幸か不幸か、私は自分が住んでいた家が欠陥住宅であった経験がある。どうしてこの経験がお客様のメリットになるのか?
まず、お客様にしてみれば、「欠陥住宅の被害にあった人は絶対に欠陥住宅をすすめてこない」と直感的に思うだろう。つまり、この自己紹介文を読んだお客様は、「欠陥住宅をつかまされる心配から逃れられる」というメリットを感じるのだ。
私の自己紹介文は、子どもの頃に体験した増築部分のことを正直に語ったものだ。これを送るようになってから、お客様からよくこんなふうに声をかけてもらえるようになった。
「大変な思いをされたのですね」
「菊原さんだったら、絶対に欠陥住宅を建てたりしないですよね」
今から考えると、この自己紹介文がお客様へ大きなインパクトを与えていたのだと思う。とはいえ、なかには「オイオイ、私にはそんな都合のいいエピソードなんかないよ!」と思う方もいるだろう。