ベトナムはここ数年、5~6%台の堅実な経済成長を続け、人口も約9000万人と多く、消費市場の拡大に期待が集まる。中でも食品市場では近年、高付加価値商品や安心・安全への関心が急速に高まっており、資金やノウハウを持つ日系企業にとって、大きなビジネスチャンスが望めそうだ。
ハノイとホーチミンは引き続き注目の市場
ベトナムは南北に長い地形で、その点は日本と似ている。首都ハノイ市は北部に位置し、南部に位置する商業都市ホーチミン市までは直線距離で約1,700km、飛行機でも両都市間の移動は約2時間かかる。ベトナムの主要経済圏はこのハノイとホーチミン市の2都市を中心とした南北の2地域に分かれている。気候も南北で差異が大きく、北部は亜熱帯性気候で四季があり、南部は熱帯気候に属し一年を通じ常夏で雨季と乾季がある。
気候と風土の違いから南部と北部の人の気質も違うとされる。大雑把に言えば、北部の人は「堅実」、南部の人は「おおらか」といわれている。経済面では、国内総生産(GDP)が2,000億ドル弱で、日本の20分の1程度。都道府県で例えるなら、埼玉県の約20兆円と同じくらいの規模だが、毎年5~6%の経済成長を続けているのが魅力だ。
図表1 ベトナムの概況
出所:国際通貨基金(IMF)、国連、ベトナム政府ウェブサイト等より筆者作成。
これまでベトナムは日本企業にとって、生産拠点として注目を集めることが多かったが、近年は順調な経済成長により国民所得も上がっており、市場としての魅力が語られることが増えた。