東南アジアビジネス新潮流

統合ASEAN 広がるビジネスチャンス 日本貿易振興機構(JETRO) 海外調査部アジア大洋州課長 池部 亮氏

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 世界有数の成長センターである東南アジアが新たな飛躍のときを迎えている。主要10カ国からなる東南アジア諸国連合(ASEAN)は2015年末、ASEAN共同体(AC)を発足。長く軍政が続いたミャンマーでは歴史的な政権交代が実現するなど、ダイナミックに変貌しようとしている。ビジネス環境はどう変わるのか、成長が期待されるのはどんな分野か、日本企業にとっての課題は何か。

日本企業の投資はサービス業が主流に

ASEANを構成する10カ国

 東南アジア諸国連合(ASEAN)は日本企業にとって古くから海外進出先として馴染み深い地域である。日本企業にとってのASEANは半世紀にわたって、身近な海外展開先として選好されてきた。実際、経済産業省の『2013年度海外事業活動基本調査』によれば、海外に所在する約24,000社の日本企業現地法人のうち、ASEANには5,809社(24%)があり、中国(28%)に次いで北米(13%)、欧州(12%)を凌ぐ進出先となっている。

 ASEAN10カ国の1990年から2014年までの国内総生産(GDP)の実質成長率は平均で5.4%に達する。1990年以降、13年目の2003年に国内総生産が2倍、続く8年間で3倍、2014年には90年比で3.7倍の成長を遂げてきた。

 当然のことながら、ASEANは経済発展レベルの異なる諸国で構成されている。国連の定義で貧困国とされるカンボジアから先進国に分類されるシンガポールまで、経済発展レベルの異なる国の集合体がASEANである。

 ASEANは長い間、生産拠点として位置づけられ、東アジアの生産ネットワークの重要な一部を担っている。輸出企業にとっては労働集約的な工程に適した安価な労働者が豊富に存在することが利点であったし、自動車や家電など耐久消費財メーカーにとっては、順調な経済発展で拡大する現地市場が大きな魅力だった。

 小売り・卸売り、飲食店、エンジニアリング、金融、保険といったサービス産業をみると、多くの国で外資参入規制を設けており、これまでは外国投資の参入は難しい分野であった。それが、多国間の自由貿易枠組みや個別の自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を通じ、ASEANの各国市場が徐々に開放されつつあり、日本企業にとっての商機が拡大してきた。

 実際、日銀の国際収支統計によれば、日本のASEANへの対外直接投資額(フロー)は、2011年以降、非製造業投資が製造業投資を上回るようになった。今や日本のASEAN向け投資の大半がサービス産業分野へと転換しているのである。

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