戦略にこそ「戦略」が必要だ

企業の半数が間違える、戦略の選び方 ボストン コンサルティング グループ M・リーブス氏、K・ハーネス氏、J・シンハ氏

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 インドを本拠とするITサービス・ソリューション企業、タタ・コンサルタンシー・サービシズは、予測することもつくり変えることもできない環境で事業を営んでいる。同社は、クライアント・サーバーからクラウド・コンピューティングへのシフトに代表される度重なるテクノロジーの進化と、こうした進化が顧客のビジネスや競争の基盤にもたらす変化に適応し続けている。環境の観察や戦略的実験、組織の柔軟性を重視したアダプティブ型アプローチをとることにより、同社の売上は1996年の1億5500万ドルから2003年には10億ドル、2013年には130億ドル以上に成長し、世界第2位のITサービス専業企業となった。

ビジョナリー型

 ビジョナリー型アプローチをとるリーダー企業は、基本的に一社の力で事業環境をつくり、あるいはつくり直すことができると考えている。ビジョナリー型企業の勝利のカギは、革新的な新商品やビジネスモデルを最初に投入することにある。他社から見ると不確実性の高い環境であっても、ビジョナリー型企業は新しい市場セグメントの創出や既存セグメントの破壊への明白なチャンスを見通し、その可能性を実現しようと行動する。

 このアプローチは、ビジョナリー型企業が独力で新しい魅力的な市場を創造できる場合に有効である。新たなテクノロジーを初めて適用する場合や、顧客の不満もしくは潜在ニーズを最初に発見して解消する場合などが考えられる。業界の陳腐化したビジネスモデルにイノベーションを起こす場合もあれば、他社に先駆けてメガトレンドに着目し、それに取り組む場合もあるだろう。

<FONTBOLD />ビジョナリー型戦略アプローチ</FONTBOLD>

ビジョナリー型戦略アプローチ

 ビジョナリー型アプローチをとる企業もまた、特有の思考フローをたどる。ビジョナリー型リーダー企業は、まず高い価値を創出でき、かつ実現可能性の高い事業機会を構想する。次に、一心に取り組んで誰よりも早くその事業を構築する。最後に、そのビジョンの可能性を最大限実現すべく、実行と拡大を貫徹する。クラシカル型戦略における分析と計画、アダプティブ型戦略における実験の繰り返しとは対照的に、ビジョナリー型アプローチは想像とその実現が中核をなし、本質的に創造性に富む。

 医薬品開発のための臨床試験業務などを受託・代行するCRO(開発業務受託機関)業界のパイオニアであるクインタイルズは、ビジョナリー型戦略アプローチをとる企業の代表例である。医薬品業界の他の企業には従来のモデルが安定的で不変と映っていたかもしれないが、クインタイルズのデニス・ギリングス会長は、まったく新しいビジネスモデルの創造により医薬品開発のプロセスを改善する明白なチャンスを見据えていた。そして1982年、彼は世界で初めてこの必然的チャンスに投資をした。クインタイルズは迅速かつ大胆に動くことでリードを保ち、潜在的後続企業に大きく水をあけた。同社は現在、自ら創造したCRO業界の首位企業であり、現在販売されているベストセラー医薬品上位50製品すべての開発あるいは商品化に関与してきた。

シェーピング型

 予測はできないが改変可能性が高い環境では、業界のルールが定義あるいは再定義される前の早い段階で、業界そのものの形成あるいは再形成を主導する、たぐいまれな機会が訪れる。

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