戦略にこそ「戦略」が必要だ

企業の半数が間違える、戦略の選び方 ボストン コンサルティング グループ M・リーブス氏、K・ハーネス氏、J・シンハ氏

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 最後に、リニューアル型の環境における厳しい状況では、企業はまず、経営資源を確保して存続可能性を高める必要がある。そのうえで、成長軌道に戻して長期的に成功を持続するため、他の4つのアプローチのいずれかを選ぶ。端的に言えば、もっとも重要な要件はアプローチごとにまったく異なる。

クラシカル:規模を拡大する

アダプティブ:素早く動く

ビジョナリー:創造(破壊)する最初の企業になる

シェーピング:オーケストレーター(編成者)になる

リニューアル:存続可能性を高める

 何よりも、適切なアプローチを選択することが肝心だ。私たちの研究では、戦略をうまく環境に適合させている企業は、そうでない企業に比べて非常に高いリターン――TSR(株主総利回り)4~8パーセント――を実現している。しかし、調査した企業の約半分は何らかの観点で環境に合わない戦略アプローチを採用している。

 では、どのようにそれぞれの戦略アプローチを活用して勝利を手中にするか、そして、なぜそれぞれのアプローチが特定の環境においてうまく働くのか、さらに詳しく検討していきたい。

クラシカル型

 クラシカル型戦略アプローチをとるリーダー企業は、事業環境が予測可能で、競争の基盤は安定的であり、優位性は一度獲得すれば持続可能であると考えている。こうした企業は、環境を自らつくり変えられないことを前提として、その環境で最良のポジションにつくことを追求する。最良のポジションをもたらす要素は、優位な企業規模、差別化、組織能力である。

<FONTBOLD />クラシカル型戦略アプローチ</FONTBOLD>

クラシカル型戦略アプローチ

 予測可能で、大きな混乱もなくゆるやかに推移するクラシカル型の環境では、ポジションの優位性は持続可能である。

 クラシカル型の企業は、優位なポジションを獲得するために次のような思考フローをたどる。まず競争優位性の基盤、および自社の組織能力と市場の適合度を分析し、それらが時間とともにどのように推移するかを予測する。次に、優位なポジションを構築し持続するための事業計画を策定する。最後に、その計画を徹底的に、かつ効率良く実行する。

アダプティブ型

 予測できず、改変可能性も低い事業環境では、企業はアダプティブ型アプローチをとる。予測が難しく、優位性を維持できる期間が短い状況では、絶え間ない破壊的変化に対する唯一の防御は、十分な備えと、繰り返し自らを変革する能力である。アダプティブ型の環境で勝利をおさめるカギは、継続的に実験を行い、他社よりも早く、かつ経済効率よく新たなオプションを見定めて、変化に適応することにある。クラシカル型戦略の信条は持続的競争優位性であったが、アダプティブ型戦略では「一時的な優位性の連続」がそれにとって代わる。

<FONTBOLD />アダプティブ型戦略アプローチ</FONTBOLD></p><p>

アダプティブ型戦略アプローチ

 アダプティブ型企業は、実験を通じた戦略で成功をおさめるために、3つの不可欠な思考ステップを身につけている。すなわち、継続的にアプローチを多様化して、テストする戦略オプションを種々つくり出す。その中からもっともうまくいくオプションを注意深く選択し、それを拡大する。そして、環境が変化するにつれて、この進化ループを迅速に繰り返して、継続的に自社の優位性を更新していく。アダプティブ型アプローチはクラシカル型アプローチに比べると、知的思考に頼る度合いが低い。優位性は、分析、予測、最適化ではなく、新しいことを試す反復的な実験を通して構築される。

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