戦略にこそ「戦略」が必要だ

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 業界が進化の初期段階にあり、自社が影響力を及ぼさなければならないものの支配はできない多数のステークホルダーの参加が前提条件となるため、シェーピング型企業は将来予測がきわめて難しい環境で事業を運営することになる。

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シェーピング型の戦略アプローチ

 このような改変可能性が高く、予測可能性が低い環境で成功するには、企業はまず適切なタイミングで他のステークホルダーを「巻き込み」、共有するビジョンを描き、影響力を及ぼし、協業関係を「編成・調整」する場となるプラットフォームを構築する。そして最後に、そのプラットフォームとエコシステムの柔軟性を維持しつつ、それらの規模を拡大することによって「進化させる」。

 絵画の比喩を用いるなら、多くの芸術家の力を結集して、巨大な壁画を制作するのがシェーピング型戦略だ。中心的な役割を果たす「オーケストレーター」(編成・調整役)は、多くの芸術家たちと説得力のあるビジョンを共有して彼らを巻き込み、混沌を避けるためパートナーの力を編成・調整する影響力を行使する。そしてその過程で生まれる多様なデザインを試しながら、参加者の創造性を最大限に活用する。

 シェーピング型アプローチをうまく適用すれば、その利益は非常に大きい。シェーピング型企業の旗振りのもとで複数の企業やステークホルダーが協調して新たな市場をつくると、後続企業に比べてはるかに大きな利益を獲得できることがめずらしくない。エコシステム内で多様性に富んだ参加者が並行して取り組むことにより、いずれの参加者にとってもコストとリスクが軽減され、イノベーションが加速する。

 その結果、システムは短期間で成長し、素早く変化に適応することが可能になる。さらに、ビジネス・エコシステムは強力な囲い込み効果とネットワーク効果から恩恵を受けられるため、並外れて強大なものになり得る。しかも多くの場合、市場全体にわたりビジネスを展開するオーケストレーターとエコシステムはたった1つに限られる。

 シェーピング型企業は予測困難な環境にいるため、その戦略アプローチにはアダプティブ型戦略と共通する特徴がいくつかある。新たな産業のダイナミクスは、完全にその将来を予測することは難しく、試行を繰り返しながら進化した姿が現れる。一方で、ビジョナリー型の組織の場合と同じく、シェーピング型企業は環境が改変可能であると認識し、新しい課題に取り組んだり、既存の課題を従来よりも格段に優れた方法で解決したりして、業界を新たに定義もしくは再定義するチャンスを模索する。

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