戦略にこそ「戦略」が必要だ

電子商取引の「未来」をつくり出したUPS ボストン コンサルティング グループ M・リーブス氏、K・ハーネス氏、J・シンハ氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

秘訣と落とし穴

 ビジョナリー型アプローチの成功のカギは、他社に先駆けて事業機会を発見して行動を起こし、その機会を実現するためのビジネスモデルを構築し、避けられない障害を柔軟に克服しながら目標を貫徹することだ。ところが現実には起業家の80パーセント近くは失敗する――そしてその理由はビジネスのアイデアのまずさだけではない。

 私たちの調査によれば、実際の状況にかかわらず、自社にとっての事業環境がビジョナリー型であると認識されている割合がもっとも高い。この調査結果は、改変可能性および予測可能性を実際よりも高く評価する心理的傾向を示している。さらに、対象企業の実際の行動様式からみると、ビジョナリー型はもっともよく実践されている戦略アプローチであるが、これもまた企業が採用していると自認する戦略のタイプや実際の環境とは相容れない。このような認識と現実の不一致は、環境認識を誤るバイアスと、ビジョナリー型戦略の手法が広く認知されている現実を反映していると考えられる。

<FONTBOLD />ビジョナリー型アプローチにおける成功と失敗の主な要因</FONTBOLD>

ビジョナリー型アプローチにおける成功と失敗の主な要因

マーティン・リーブス、クヌート・ハーネス、ジャンメジャヤ・シンハ 著 『戦略にこそ「戦略」が必要だ』(日本経済新聞出版社、2016年)第4章「ビジョナリー型戦略アプローチ ―― パイオニアになる」から
マーティン・リーブス(Martin Reeves)
ボストン コンサルティング グループ(BCG)ニューヨーク・オフィス シニア・パートナー&マネージング・ディレクター。BCGブルース・ヘンダーソン研究所所長。東京オフィスにも8年間在籍し、ヘルスケアを中心とする多国籍企業に対して様々な戦略策定・実行を支援した。2008年よりBCGフェローとして、クライアントサービスと調査研究のバランスを保ちつつ戦略に関わる数多くの論文執筆と講演を行っている。
クヌート・ハーネス(Knut Haanaes)
BCGシニア・パートナー&マネージング・ディレクター。BCGジュネーブ・オフィスのリーダー。BCG戦略プラクティスのグローバルリーダー、BCGオスロ・オフィスのリーダーを歴任。幅広い業界のクライアントに対して、価値創造と成長を軸とした支援を行っている。また、サステナビリティの分野に情熱を傾け、世界経済フォーラム(WEF)、世界自然保護基金(WWF)といった国際的組織とも協働してきた。
ジャンメジャヤ・シンハ(Janmejaya Sinha)
BCGアジア・パシフィック地区のチェアマン、グローバル経営会議のメンバー。アメリカ、イギリス、アジア各国、オーストラリア、インドを含む幅広い地域のクライアントに対し、トランスフォーメーション(構造的改革)、各種事業戦略策定・実行、ガバナンス、ファミリービジネスなどに関わる支援を行っている。共著に『BCG 未来をつくる戦略思考――勝つための50のアイデア』がある。2010年、『コンサルティング・マガジン』誌により、もっとも影響力のあるコンサルタント、トップ25人の1人に選ばれた。

キーワード:経営層、管理職、企画、経営、人材、人事、イノベーション

関連情報

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。