戦略にこそ「戦略」が必要だ

電子商取引の「未来」をつくり出したUPS ボストン コンサルティング グループ M・リーブス氏、K・ハーネス氏、J・シンハ氏

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 経営思想家のゲイリー・ハメルは著書のなかでこう記している。「あちらこちらのガレージを覗いてみれば、きっとあなたの会社の名前を刻んだ銃弾を鋳造している起業家がいる」。ビジョナリー型アプローチについて理解と認識を深めることは、既存企業にとっても防御の最前線の一手段として役立つだろう。

電子商取引のビジョンに賭けたUPS

 ビジョナリー型戦略アプローチによって業界の大きなトレンドを予測した大企業の1つにUPSがある。1907年にアメリカン・メッセンジャー・カンパニーの名前で設立されたユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)は、アメリカで最大の宅配便会社に成長した。UPSは、規模を生かして支配的なポジションを獲得するクラシカル型戦略アプローチをとり、大きな成功をおさめてきた。ところが、まだアマゾンも誕生していない1994年、同社はコネクティビティとデジタル化の進展によって、市場の比重が電子商取引へと移行することを予測した。そして「世界規模で電子商取引を支援する企業」に変貌する好機に目をつけた。

 UPSはビジョンの実現のため、年間10億ドルを投資してITシステムを構築した。この思い切った行動がきっかけとなり、電子商取引業界の最大手のいくつかが関心を示した。こうした大手顧客からの受注は約10年にわたって毎年最大20パーセントも増加した。これに加えて、UPSは法人顧客に対するサービスを拡充し、彼らが自社のウェブサイトにUPSの最先端の注文・荷物追跡機能を組み込みやすいよう工夫を重ねた。

 こういった努力によって、オンライン事業者の配送サービスにかけては比類ない選択肢であるという強力なブランドイメージを築いた。とりわけイーベイとの提携は注目を集めた。UPSはイーベイの利用者がUPSによる配送オプションに直接アクセスできるようにして、配送手続きを簡単にした――そのおかげで、消費者間のオークションを完了する際の大きな障害が取り払われた。2000年の時点では、将来を見据えたUPSの戦略の成果は明らかだった。同社はアメリカ国内の電子商取引の配送市場において、60パーセント以上のシェアを占めるに至ったのである)。

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