ICTで築く明日の社会

人工知能に負けない子ども、どう教育するか 東京大学 大学院情報学環 教授 山内祐平氏

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――東京大学でも、MOOCと対面の講義を組み合わせた公開講座を開いている。どのような講座なのか。

 MOOCプラットフォームの「gacco」で開いた日本中世史講座の例では、通常のMOOCコースとMOOC+対面学習のコースがある。通常のMOOCコースでは、講義の動画を見てオンラインテストを受ける。期間は4週間。これだけでも学習効果はあるが、MOOC+対面学習のコースでは2週間に1回の対面講義・グループワークを通して「歴史学者のように考える訓練」を経験できるようにしている。9月に開いた対面学習では、小学校5年生の受講者もいた。

 昨年開いた日本史講座について学習効果を評価したところ、MOOCだけで学習するより、対面学習を組み合わせたほうが、歴史的思考力、つまり歴史学者のように考える能力が上がっていることを確認できた。

<FONTBOLD />MOOCと対面学習を組み合わせた場合の歴史的思考力の伸び(左)と採点基準(右)</FONTBOLD></p><p>MOOCのみの場合より、対面学習を組み合わせたほうが大きな学習効果を得られた。効果量は、「MOOCのみ」だと0.10、「MOOC+対面学習」で0.35</p><p>

MOOCと対面学習を組み合わせた場合の歴史的思考力の伸び(左)と採点基準(右)

MOOCのみの場合より、対面学習を組み合わせたほうが大きな学習効果を得られた。効果量は、「MOOCのみ」だと0.10、「MOOC+対面学習」で0.35

 歴史的思考力を測定するため、講座の事前事後に「織田信長はなぜ天下統一の目前まで行けたのか」というテーマで300字以内のレポート課題を出し、採点した。事前事後の点数を比べると、MOOC+対面講義コースの受講者はもともと事前の歴史的思考力が高かったが、講座での学習を通して課題の点数がさらに伸びた。この伸び(学習の効果量)が通常のMOOCコース受講者のそれを上回ったところに意味がある。

 MOOCは知識のアップデートに非常に向いた方法であり、それに対面学習を組み合わせれば思考力も高められることを定量的に確認できた。こうした学び方が生涯にわたる学習の選択肢になるはずだ。

キーワード:経営、経営層、管理職、技術、イノベーション、ICT、IoT、AI、ものづくり、製造

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