ICTで築く明日の社会

人工知能に負けない子ども、どう教育するか 東京大学 大学院情報学環 教授 山内祐平氏

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学校だけで学ぶ時代は終わる

――それだけの能力を子どもたちに身に付けさせるのは大変そうだ。

 ここで非常に大事なことは、学習にかけるべき時間が生涯の中で飛躍的に拡大することだ。これまで学校ですべての教育をやろうとしてきたが、学ばなければならないことが変わっていき、さらに高度化していくことを考えると、もう「学校だけで学ぶ時代は終わる」と発想を変える必要がある。つまり、生涯にわたって学び続ける社会にシフトしていかなければならないのだと思う。

 従来も社会人になってから企業内教育や生涯学習の機会はあるが、どちらかというと学校教育を補完する位置づけだ。特に生涯学習は人生を豊かに送るという色彩が強いし、企業内教育はその企業で勤めるために必要な知識の学習機会である。個人のキャリアにもとづいてずっと学び続けるというところまで、ほとんどの人は考えていなかった。

 今後は、大学を卒業しても、ある一定の時間を自己投資のためにずっと学び続けることを考えなければならない。もちろん働きながら学ぶためには、ICTを使わないとなかなか時間を捻出できないと思う。通勤時間や週末に、大学が提供している無料のオンライン講座などで学ぶということだ。場合によってはキャリアの切れ目に1年、2年大学院に戻るという選択肢もあるだろう。

――生涯学ぶということになると、もはや子どもたちだけの話ではなく、すべての世代に関わることになる。現状はどうか。

 私は東京大学でMOOC(大規模公開オンライン講座)を担当しているが、受講者の年齢層は非常に広い。30代、40代を中心に、8歳から90歳くらいまでの人が受講している。今、人気があるのはデータサイエンス系のコースで、ビッグデータへの関心が高い。大学は最先端の研究開発をしている場所なので、大学を卒業して10年、20年経った社会人が自分の専門性をアップデートするのに必要な知識がたくさんある。だからMOOCで学ぶ人が増えているし、そこで得た修了証が企業で評価されるようにもなってきている。こうした動きはどんどん広がっていくだろう。

生涯学習の基礎は「Learn how to learn」

 これに合わせて、学校教育も生涯にわたる教育の枠組みの中でもう1度位置付け直す必要がある。

 生涯学ぶということが軸にある中で、その一部だけど非常に重要な役割を果たしている小学校から大学までの学校教育においては、「生涯学ぶための基礎をつくること」が一番大事になってくる。言い換えれば、学校教育を終えるまでに、子どもたちは「1人で主体的に学べる」ようになっていなければならない。これは21世紀型スキルの中でも比較的重視されている「Learn how to learn(学び方を学ぶ)」というスキルだ。

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