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医学研究につきまとう「データ数の壁」、iPhoneで崩す 慶應義塾大学医学部循環器内科 医学博士 木村雄弘氏

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 「運動評価検査」については、iPhoneのカメラやセンサーを使って次の3つの運動評価を行う。いずれも脳梗塞の診断のために診察室で行う運動評価検査をiPhoneのセンサーで模倣したものである。iPhoneアプリらしい特徴なので概要を紹介しよう。

<FONTBOLD />Heart & Brainの協調運動評価に関する測定結果例</FONTBOLD>

Heart & Brainの協調運動評価に関する測定結果例

運動麻痺評価:片方の手のひらにiPhoneを乗せ、手のひらを上にしたまま体の前に肩の高さまで腕を上げる。この状態で目を閉じて10秒静止する。手のひらが内側に傾いたり、腕が下がってきたりするようだと脳梗塞の疑いがある。こうした動きをiPhoneのジャイロスコープや加速度センサーで測定する。

顔面運動評価:目を閉じて、口で「イー」と発音するように笑顔をつくり、カメラで自分の顔を写す。脳神経に異常があると、両目をぎゅっと閉じたり、うまく笑顔をつくれなくなったりする。iPhoneの顔認識技術を使って、両目を閉じたか、笑顔になったかを検出する。

協調運動評価:片手にiPhoneを持ち、できるだけ速く「きらきら星」のお遊戯のように10秒間手首をくるくる回転させる。小脳に障害があると手首を回す周期が不規則になる。この手首の回転運動をiPhoneのジャイロスコープで測定する(右図参照)。

 運動評価検査の計測データはHeart & Brainのデータタブに表示され、研究協力者自身が確認できる。ただし、あくまでも計測データであり、診断ではない点に注意してほしい。こうしたウェアラブル機器を利用した診断の可能性については今後検討するという。

「たった1カ月で1万人」の臨床データを収集

 さて、肝心なのは「どれくらいの臨床データを集められたか」という結果だ。その点でHeart & Brainは上々の成果をもたらしている。

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