ICTで築く明日の社会

ネットとリアルで理想の高校めざす N高等学校校長 奥平博一氏

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――そうした背景を踏まえて、カドカワが学校教育に乗り出す意義をどうお考えですか。

 1つは企業側から教育にいよいよ乗り出すこと。教育側の改革を待つのでなく、自分たちがそれをやろうとする決意だ。2つ目は書籍や雑誌、それにニコニコ動画といった豊富なコンテンツと情報発信力。そして3つ目はユーザー側に若年層が多いことだ。まさに高校生らに直接リーチできるツールを持っている。

校名の「N」に込めた意味

 高校設立を発表した記者会見で、川上は「いまの不登校の人は、ニコニコ動画を見ているか、角川のライトノベルを読んでいる」と言った。全員がそうではないと思うが、一定の人数はいるはずで、そこにメッセージを届けられるだろう。

――ご自身はニコ動を見たことがありましたか。

 私自身はあまり見ていなかったが、生徒たちがよく見ていることは知っていた。私に見せに来る子供もいたしね。子供たちは学校などでのリアルのつながりもあるが、交流サイトも含め、そうした世界のつながりが非常に大きくなっている。

――具体的にどんな学校を目指すのでしょう。名称の「N」はどんな意味を込めているのですか。

 Nに意味はありません。つまり「あなたの考えるNでいい」ということ。Newでもいいし、仲間(Nakama)でもいい。生徒一人ひとりの"N"の可能性を見つけてほしい。

 教育内容については現在、詰めている。授業の内容は学習指導要領で定められており、他の学校とさほど変わらないだろう。我々はそれ以外の課外学習と呼ぶところが勝負だと思っている。単位外の授業では自由に先生を招へいできる。その道のエキスパートを呼びたいと考えている。発想力が当社の強みだ。ネットだけでなく、リアルで何かを作り出す場をできるだけ多く用意していきたい。

 たとえば、職業体験。たくさんの動画を配信し、生徒が自由に選べるようにするだけでなく、実際にその現場に行って働けるようにする。また、ニコ動のユーザーが集まって年1回開くイベント「ニコニコ超会議」を文化祭として、ブースを出させる。大きく分けると、基本の勉強、ネットによる課外学習、そしてリアルな体験イベント、この3段階で子供たちに学んでもらいたい。

 単に動画を配信するのでなく、そばに援助者(チューター)がいると、そのコンテンツがより生きてくる。ネットとリアルを組み合わせて、モチベーションをどう高めるかは大きな課題だ。私は「ネットとリアルの黄金比」と呼んでいる。ネットが7で、リアルが3なのか、それとも8対2なのか。この解を見つけられれば、ネット教育の可能性はさらに高まるだろう。

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