ICTで築く明日の社会

ICTは農業を救うか~成長への期待を担う技術~ 日本政策金融公庫 農林水産事業本部 嶋貫 伸二氏

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 農林水産省が2012年にモニター農業経営者を対象として行ったアンケートによると、IT機器の利用目的について、記録や計画作成、データベース化、環境測定など、通信施術に関する項目が高まっている(図表1)。先進事例により同業者での効果が見え、導入にかかる時間やコストに対する理解が得られれば、経営へのICT積極活用の展望も見えてくる。

図表1 IT機器等の経営への利用状況(単位:%)<br /></p><p>出典 「農業分野におけるIT利活用に関する意識・意向調査」(2012年9月農林水産省)より

図表1 IT機器等の経営への利用状況(単位:%)

出典 「農業分野におけるIT利活用に関する意識・意向調査」(2012年9月農林水産省)より

 今、多くのICTベンダーが農業の作業管理、生産管理システムを提供しているが、農林水産省によると、それらのシステムは記録の収集・集計には対応しているが、分析や予測できるものは少なく、また、農作物や農作業のデータベースは各社が自主的にルールを作っているため、ベンダーの開発コストが高まっているという。

 例えば、ある農作業の定義やコードがA社とB社で違うというように、汎用化されていないというのだ。農林水産省ではICT技術の普及に向け、標準化の作業を開始した。これにより、安価で汎用性の高いシステムが供給できるようになれば普及に弾みがつくだろう。

 変革を求められる農業現場でもICTが持つ圧倒的な情報処理能力をうまく活用して、従来から日本企業の強みとされている現場から生み出される知恵(暗黙知)を速やかに企業内で共有し、活用する能力を構築していくことが、農業の成長産業化にとっても不可欠と思われる。

嶋貫 伸二(しまぬき しんじ)
日本政策金融公庫 農林水産事業本部 情報企画部情報サービスグループリーダー。

1991年農林漁業金融公庫(現・日本政策金融公庫)に入庫。農林水産省出向、札幌支店国民生活事業融資第三課長等を経て2015年4月より現職。広報誌AFCフォーラムを編集。

キーワード:経営、経営層、管理職、技術、イノベーション、ICT、IoT、AI、ものづくり、製造

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