新しい大人消費が日本を動かす

突如、テレビ視聴率を左右し始めた大人世代 博報堂 阪本節郎 氏

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 ついこの間まで、日本は「若者」と「ヤングファミリー」が中心の社会だった。とりわけ若者がビジネスのあらゆる場面で新しいことを次々に生み出していた。その最もホットなスポットは東京の渋谷であったが、それがいま劇的に変わろうとしている。

数年後の2020年には「大人といえば40代以上」という想定外の世の中に (出所)「日本の将来推計人口」(平成24年1月推計)国立社会保障・人口問題研究所

数年後の2020年には「大人といえば40代以上」という想定外の世の中に

(出所)「日本の将来推計人口」(平成24年1月推計)国立社会保障・人口問題研究所

 4年後の2020年、人口構造はどうなるのだろうか。総人口は徐々に減少し、1億2401万人となるが、成人人口は1億395万人とほぼ1億人であることに変わりはない。このうち50代以上人口は約6000万人となり、「大人の10人に6人は50代以上」となって、大人の半数を大きく超えていく。これが40代以上になると約7800万人となる。したがって、「大人の10人に8人は40代以上」という世の中になる。

 10人のうち8人、なんと4年後に日本は「大人といえば40代以上」という「想定外」の世の中が来てしまう。いま日本人でそう思っている人は皆無に等しいと思われるが、好むと好まざるとにかかわらず、わずか4年後に、想定外の社会になる。そのようななかでビジネスもマーケティングもしなければならない。よく企業の生き残りという言い方がなされるが、この人口構造の変化のなかで企業は生き残らなければならないのである。

 多くの企業においてシニアマーケティングは、考えたほうがいいし、また考えるべきこととされている。とはいえ、ビジネスのなかで「メイン」か「サブ」かと問われれば、やはり「サブ」という位置づけになる。できればやったほうがいいし、必要性も感じてはいるが、なかなかそこまで手が回らない、というところかと思われる。

 しかし、4年後にこういう社会が来るということは、やったほうがいいかどうかというレベルをはるかに超えている。対応できなければ生き残れないかもしれない。

 さらに重要なことは、高齢社会というと「オジイサン・オバアサンが沢山あふれてくる社会」を想定しがちだが、実際に起こっていることは、そういうことよりも「社会全体の大人化」である。

 人口構造が上のほうにシフトするということは、これまで若者中心の「若者社会」だったわが国が、大人中心の「大人社会」になることを意味している。

 高齢社会というと「高齢者が増えて困ったことだ」という議論が多いように思えるが、そうではなく、これまで日本人が経験したことのない「新たな大人社会」をどう創っていくかということなのである。さらにいえば、その「新たな大人社会を若者とともにどう創っていくか」、が重要なのである。

市場の変化・テレビの変化

 こうした変化はいま社会のどこに現れているのか。一番わかりやすいのは、テレビである。テレビ業界では、過去30年間フジテレビと日本テレビが年間視聴率3冠王争いをしてきた。そのなかで注目されたのは「M1・F1」と業界用語で呼ばれる20~34歳の視聴者だった。MがMaleすなわち男性、FがFemaleすなわち女性である。このM1・F1が決定的にカギを握っていた。まさに若者がテレビを左右していたのである。民放はスポンサーによって支えられており、企業の広告対象もM1・F1が主軸だった。

 しかし、2013年に大きな変化が起きた。テレビ朝日が年間視聴率2冠を達成、日本テレビとの激戦を制し、開局以来初のゴールデンタイム視聴率首位となったのである。

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