「エンゲージメント」が経営を変える

デジタルが生む人と企業の新たな絆 ローランド・ベルガー プリンシパル 田村 憲史郎氏

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 ダイレクトかつ最適化された真のOne to Oneコミュニケーションにより、最も必要とする情報を豊富に動画等も交えながら伝達、必要なときにいつでもどこでも日常生活に寄り添う形で提供できるようになった。

 デジタルにより可能になった情報に接するユーザーの時間はまだまだ増加傾向にあり、さらなる影響力の拡大は必然の流れになる。このコミュニケーション革命をうまく活用している企業とそうでない企業とでは比較にならないほどの差が今後生まれる。

アマゾンのスピーカーに込められた意味

 例えば、Amazonは米国で2014年にAmazon EchoというAI(人工知能)搭載型スピーカーを発売している。ユーザーは家に小さな筒状のEchoを置いておき、"Alexa"と呼びかける。すると内蔵AIが応答、家電製品のコントロールからタクシー配車、銀行残高確認など、かなり曖昧な指示でも実行してくれる。そして機能追加はアプリベースで行われるため、これからもますますサービス範囲を拡大するだろう。

 ここに搭載されているAIは人間と見まがうほどの流暢な応答をする。開発にあたっては被験者にAIと会話している場合と本物の人間と会話している場合、それぞれのブラインドテストを繰り返している。そうすることで違和感のない対話に成功している。反応速度も当時最先端の3秒を1.5秒以下にまで縮めるように研究を進めている。この商品の戦略的重要性の認識と、そこにかける彼らの想いの深さが分かる。

 結果、この商品は大ヒットを記録。爆発的ヒットを記録した初代iPhoneの実に5倍のスピードで売れ、米国のワイヤレススピーカーシェアの25%を占めるまでになった。既に10億ドル商品になる日を視野に入れ始めている。

 この商品が市場に出てきたことの意味は何か? この延長線上には家の中という企業からは完全にブラックボックスとなってきたユーザーシーンの情報が蓄積されていく世界があるかもしれない。ユーザーが最適なレコメンデーションや行動予測(先読み)を実現してもらうために能動的に情報を提供し、解析を依頼。そのインサイト(意味ある情報)はマクロデータとして企業の中核資産となり、あらゆる製品開発・サービス開発に適応されていく。

 実際、発売当初の価格は200ドル。しかしPrime会員は半額の100ドル。Amazonとのつながりを既に強く結ぶPrime会員に使ってもらうことで未知のエンゲージメント領域を切り拓こうとしている。

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