上杉鷹山 リーダーの要諦

赤字藩の立て直しに奏功した動機づけ理論 佃総合経営事務所 代表 佃 律志 氏

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「最終目的」と「さし当たっての目的」

 鷹山と当綱の藩政改革は、優先順位がはっきりしており、実施の段階でブレがありません。植樹は育てても結果を出すには長い年月のかかる施策です。たとえ長期のものであっても細かい調査、分析をして裏付けがとれたらブレずに進めました。

 鷹山は貧しく希望を失っている領民を絶えず動機づけ、目的を明確にしてわかりやすい目標を与えました。目標は数値で示すことができますが、目的は個人によって少し違ってきます。

 鷹山が藩政改革を開始したときの目的は、「最終目的」と「さし当たっての目的」に分かれていました。最終目的は、領民が安心して暮らせる豊かな藩を作り上げることです。さし当たっての目的は、1人の餓死者も出さずに生きていけることで、マズローの欲求五段階説の最下位にある「生理的欲求」を満たすことでした。

 理解を容易にするために、目的と目標をサッカーに置きかえてみましょう。サッカーの最終目標は世界で優勝することですが、そこに行くまでにはまず今日の試合に勝たねばなりません。勝つための第一歩は、まず1点を取ることです。

 図2は、当綱の「各百万本の植え立て計画」をサッカーと対比したものです。当綱の計画は緻密で行動的に行われています。しかし、立ちはだかる障害を取り除くことに時間がかかり、最初のうちは思うように進んでいません。

図2 目的と目標の比較

 世界の上位を目指している日本の男子サッカーが、ゆっくりだが着実にレベルアップしている状況によく似ています。大きな改革ほど時間はかかるものです。なお、目的は目標に生きがいを加味したものです。

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