中国大停滞

「赤い資本主義」は世界と共存できるか 経済評論家 田中 直毅

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 したがって、中国依存の拡大がもし危ういとすれば、中国における売り上げ増をどのような企業形態を通じて図るのか、またどのように関与を制御していくのかについて各企業は真剣に考えざるをえない。こうした中国リスクの解剖を手がかりに、中国による通商秩序の形成をめぐる問題点をここで具体的に取り上げよう。

 まず、2001年に中国が世界貿易機関(WTO)の構成者になったことをきっかけとして、WTOの内側からの変容が起きているのかどうかである。これはちょうど第2次大戦後、連合国がそのまま国連の安保理常任理事国として新しい秩序の担い手になったことと呼応しているかもしれない。

 実際のところ、国連の機能不全はシリア問題の処理が進まないことからもすでに明らかだ。国連中心主義を伝統的に掲げてきた日本外交にも、国連の場で世界にとって必要なことが決められない事態に対する大きな焦りがある。そして国連という場で世界の問題の仕分けができなくなった米国にとっても、国連の実質上の機能崩壊に対してどう対処するのかという課題が浮上する。

 そして建て前と実態との乖離という点では、WTOの加盟国となった中国がWTOの枠組みを内側から変化させてきたという面が気になる。こうした歴史の単位での秩序維持システムの盛衰に、次第に世界の目は注がれつつある。

 このテーマを2つに分けて考えてみたい。ひとつは、WTOが掲げている内外無差別の原則が相次いで損なわれているという点である。もうひとつは、中国に見られる国家資本主義(red capitalism)そのものがWTOと共存しうるのかという論点である。

内外無差別の原則の相次ぐ違反

 第1は、内外無差別の原則(national treatment)が中国によって次々と崩されていることに対してどう考えたらよいのかという点にかかわる。尖閣諸島問題をきっかけとして、とりわけ日本製品や日系企業に対してこのことが大きな障害として浮上した。しかし、とりあえずこの問題は脇に置く。

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