ずっと売れる!ストーリー

ボルヴィックに「唯一の価値」与えたストーリーの魔法 湘南ストーリーブランディング研究所 川上徹也 氏

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 まずはストーリーのわかりやすさです。導入の「ミネラルウォーターを買う」という行為と、「アフリカで井戸が掘られ水が供給される」という結末の部分が、どちらも「水」ということで共通しています。さらに1Lごとに10Lが支援される換算になるという数字がとてもわかりやすいのです。「1L for 10L」というコピーも秀逸でした。

 もちろんアフリカ諸国が抱えている問題は水だけではないでしょう。しかし生活の中心である水の問題を改善することは、色々なことに波及することは容易に連想できます。またユニセフという信頼できるパートナーとのコラボレーションにより、支援金がどこに、どのように使われるのかがわかりやすくなります。このことも参加意義をより高めることにつながっているのです。

 何よりもこのストーリーが優れているのは、商品を買う人間が主人公になることができるという点です。

 「主人公になる」というのは、例えば以下のようなイメージです。

 あなたはミネラルウォーターを買おうとコンビニに入りました。棚を見ると色々なブランドの水が置いてあります。そんなとき、あなたはボルヴィックの1L for 10Lのストーリーを思い出します。1本が500mLだから、今1本を買えば5Lの水がアフリカで供給されるのか、なんてあなたは思います。あなたは自分の意思でボルヴィックを選び、レジに持っていくのです。「俺(私)ってちょっといい人?」なんて思いながら。そして店を出ると、ボルヴィックを飲んで「ふーおいしい」と満足するのです。

 多くのミネラルウォーターの中からボルヴィックを選んだのは、他ならぬあなたです。つまりこのストーリーを選んだのはあなた。だから主人公はあなたなのです。

 150円ほどのお金でストーリーの主人公になれるんですから、どうせ買うんだったらボルヴィックという気持ちになっても不思議ではありません。

 時代の空気も追い風になっています。今の時代、若い世代ほど、何かしら社会に貢献したいという意識が高い傾向があります。このストーリーも若い世代に突き刺さりました。

 もちろんこういう反論もあると思います。そんな回りくどいことしなくても、寄付したければ直接ユニセフにしたらいいじゃないか。その方が全額行くんだから。また企業側も、結局寄付を商売に利用しているだけで偽善じゃないかって。

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