電子部品 営業利益率20%のビジネスモデル

ニッチの村田製作所 vs 多角化の京セラ フロンティア・マネジメント執行役員 村田朋博氏

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 ここで、住友、三井、三菱などの財閥は事業領域を拡大して成功したではないか、との指摘があるかもしれません。財閥は、小売りから軽工業から重工業からハイテクから海運から金融まで、すべてで成功してきたではないか、と。だからこそ、「財閥」になったのではないかと。

企業の永続を考えればニッチが王道

 しかし、財閥の多角化の多くは政府払下げ事業でした。また、日本が高度成長期であったことも、もちろん大きな差です。すでに支配構造が確定した現代社会において、財閥を目指すことはあまり現実的ではないように思います。

 意欲的な経営者であればあるほど、規模も追求したくなるのは当然です。しかし、長期で見ると、ニッチを忘れた多角化が正しいのかは繊細な議論が必要になることでしょう。家電量販店でも、急成長を目指したヤマダ電機と、「がんばらない」でできることを着実にこなしたケーズ・ホールディングス、結果的にはどちらが成功するのか。食品業界では、「年輪経営」を標榜し毎年少しだけ「良い会社になる」ことで、39期連続増益を達成した伊那食品工業。

 ニッチ特化か、多角化か。正しい正しくないの議論というよりは、経営哲学の問題で正解などありませんが、企業の目的が、安定した雇用を従業員に、安定した税金を社会に、安定した配当を株主に提供すること、そして、何よりも永続することにあるとするならば、ニッチ強化が王道であるように思います。

村田 朋博著 『電子部品 営業利益率20%のビジネスモデル』(日本経済新聞出版社、2016年)第4章「ニッチ企業だけが生き残る」から
村田 朋博(むらた・ともひろ)
フロンティア・マネジメント執行役員。山一電機社外取締役。
1968年、名古屋市生まれ。東京大学工学部精密機械工学科卒。大和証券入社。大和総研、モルガン・スタンレー証券での20年間のアナリスト経験を経て、現在、フロンティア・マネジメントにてコンサルティング、企業提携を担当。2001年第14回日経アナリストランキング1位(半導体・電子部品)。著書に『電子部品だけがなぜ強い』『経営危機には給料を増やす!』(いずれも日本経済新聞出版社)。

キーワード:経営、経営層、管理職、技術、イノベーション、ICT、IoT、AI、ものづくり、製造

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