電子部品 営業利益率20%のビジネスモデル

ニッチの村田製作所 vs 多角化の京セラ フロンティア・マネジメント執行役員 村田朋博氏

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 京セラは、もしくは稲盛和夫氏といったほうが正確かもしれませんが、KDDIの実質的な創業者であり、12.7%の株式を保有しています。また、京セラは(稲盛氏は)日本航空の再建にも貢献し、2.1%の株式を保有しています。したがって、KDDIの営業利益7413億円の12.7%すなわち941億円、日本航空の営業利益1797億円の2.1%すなわち38億円は京セラに帰属する利益です。逆に、AVX(営業利益2.1億ドル)の持ち分は72%であり、AVXの営業利益の28%を控除する必要があります。これらを加減すると京セラの営業利益は934億円ではなく1850億円程度、電子部品業界2位になります(※4)。

(※4)正確に比較するには、京セラの他の子会社についても計算する必要があり、また、京セラ以外の企業についても同様に補正する必要がありますが、電子部品業界では一般に部分出資の企業で連結業績に大きな影響を与える企業を保有する企業は少ないため、傾向は変わりません。

真似できない京セラの経営哲学

 それでは、他のハイテク企業も多角化をもっと推進すべきなのでしょうか?

 筆者は、この議論は一般化することはできないと考えています。京セラが情報機器、通信サービス、航空事業を成功させることができたのは、同社の優れた経営哲学・手法があってこそのもので、他社が模倣できないでしょう。ソニーの映画事業・金融事業の成功も、同社ならではのブランド力と斬新な発想力によるもので、他のハイテク企業が模倣すべきではないのと同じことです。

 同時に、京セラの優れた経営力がニッチ事業に投下されていたらどうであったか、とも考えます。今の京セラにあるダイナミズムはなかったかもしれませんが、逆に、セラミックス+電子部品でもっと成功していたかもしれません。

 ニッチ以外への多角化は、当然のことながらリスクが大きいでしょう。例えば、京セラの力をもってしても、通信機器事業は厳しい状況です。2015年3月期までの過去10年間累計で409億円の赤字です。筆者は、京セラでなく、これが村田製作所でもTDKでも日東電工でも日本電産でも、携帯電話事業を成功させられたとは思えません。消費者向け事業である携帯電話は、部品企業のニッチではないのです。

 ちなみに、京セラの携帯電話事業の一部は、2000年に買収した米国クアルコム社の携帯電話事業です。クアルコムは端末事業を譲渡し、その経営資源を、同社のニッチ=携帯電話用半導体に投入することで、同製品においては実質的に独占することとなりました。現在は、台湾メディアテック、中国スプレッドトラムの挑戦を受けていますが、それでも、売上高253億ドル、営業利益58億ドルという素晴らしい業績です。

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