フィンテック 金融維新へ

フィンテックが3割奪う、金融機関の収益 アクセンチュア

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 特に重要なのが組織カルチャーと人材であり、この大競争時代にこれまでと同じ枠組みで個性のない中庸なジェネラリストを大量採用していては、異能な人材こそを最重視するテクノロジー企業に対抗できるわけがない。自らを創造的破壊(ディスラプト)するつもりで取り組み、テクノロジー企業や異業種に学ぶことで、イノベーションの萌芽を手中におさえるほかないのだ。自らを変えることができれば道は開け、変われなければ滅びを待つことになる。フィンテックは、まさに両刃の剣なのである。

本質はビジネスモデルの追求

 では、このフィンテックの荒波が押し寄せる中で生き残るために何をすればいいのか。ここまで順を追って本連載を読み進めてきた読者であれば、伝統的な金融機関がフィンテックのスタートアップ企業にただ投資していれば安泰である、と考える人はもはやいないと信じたい。何に注力すべきなのか理解するために、まずは二つの事例を紹介する。

 一つは、フィンテックが意識されるようになったきっかけとも言っていい、非金融機関によるイノベーションの事例である。もう一つは、フィンテックに取り組み、それまでの中位のポジションから一気に飛躍した金融機関の事例である。

フィンテックは常識を破ることで市場参入を果たす

 一つめの事例としてスクエア(Square)を挙げたい。スクエアは2009年に米国でローンチされたクレジットカードの加盟店決済に革新をもたらした企業である。創業者はツイッター(Twitter)の共同創業者の一人でもあるジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏だ。日本市場にも2013年に進出を果たし、以降類似のサービスを展開する企業が現れているがスクエアほどの成功を果たしてはいない。

 2015年時点で、日本では10万台以上(米国では420万台以上)の端末が普及しており、いまでは街中の飲食店などでスクエア端末をご覧になったことのある読者も多いのではないかと想像される。スクエアは、スマートフォン端末にクレジットカードをスワイプ(読み取る)するための専用端末を挿入し、インターネット経由でクレジットカード決済を行う仕組みである。専用のアプリで完全に電子化された決済を実現するほか、加盟店の売上管理をサポートするPOSレジ機能も提供する。

 現在ではICカードにも対応している決済端末は、4980円ほどで入手可能だ。決済手数料は3.25%と業界水準よりも一段低い(伝統的なクレジットカード会社は、大規模加盟店に対しては前述よりも有利な経済条件を提供可能だが、小規模加盟店ではコストに見合わないため割高となっている)。また売り上げの入金も翌営業日に行われる(小規模加盟店にとってはキャッシュフローがショートしないためニーズが高い)。

 このように、スクエアはスマートフォンを決済端末に変えてしまうことによって、クレジットカード決済導入のハードルを押し下げるとともに、誰でもどこでもクレジットカードの決済を受け付けるロケーションフリーの決済を可能にした。

 この結果、これまでコスト面で導入を見送ってきた小規模店舗における導入が進むとともに、売り場や外出先でのクレジットカード決済が可能になったことで、販売オペレーションにも革新をもたらした。

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