フィンテック 金融維新へ

急拡大の「フィンテック」、世界で投資競争 アクセンチュア

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【与信の鍵はビッグデータ解析】

 もう一つの特徴的なサービスはビッグデータ解析にもとづく与信審査・融資サービスで、カベージ(Kabbage)がその代表例だ。

 カベージはインターネットからさまざまな情報を取得し、人工知能を活用した独自のアルゴリズムで融資申し込み企業の信用力や返済能力を判断し融資を提供している。人工知能とは「コンピューターが“自律的に”情報を認知し、学習し、判断し、伝達する」技術だ。

 これまでの融資サービスでは、金融機関の店頭でいくつもの紙の書類の提出を求められるケースが多かった。加えて、融資実行まで数週間程度を要するケースも一般的だ。一方、カベージはオンラインで申し込みを受け付け、デジタル化されたデータを活用して数分で与信判断を行い、翌日には融資が実行される。これは、特に資金繰りが厳しい中小企業にとっては非常に価値が高い。

 たとえば、融資申し込みを行った企業がeコマースサイトに出店している場合、その企業ページへの来訪者数、売上高、顧客レビューなどを取得する。ペイパルなどの決済サービスの利用実績、クラウド上の会計サービスで管理している財務・会計情報なども、与信判断の材料となる。

 さらに、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)からの情報も与信判断に活かしている。融資申し込みを行った企業がフェイスブック(Facebook)やツイッター(Twitter)などのSNSアカウントを持つ場合、そのアカウント情報をカベージに提供する。カベージは、融資申し込み企業の将来の収益獲得ポテンシャルを推し測る材料として、企業と顧客のリレーションの強さやロイヤリティの高さに関する情報をSNSから取得している。

 従来の金融機関は、過去の財務諸表などにもとづいて与信判断を行っていたが、カベージはインターネットを介して日々変化する情報もタイムリーに取得している。それらを複合的に利用して融資対象企業の事業継続性や返済能力を見極めているのだ。

 従来の手法では、財務諸表などが作成された時点の業績が芳しくなければ、直近の売り上げが改善・急拡大していても融資を受けることができないケースがあった。しかし、カベージはタイムリーに売上高や顧客数などの情報を取得して与信判断を行うことで融資機会を広げている。同時に、過去時点の財務状況が良好でも業績下降傾向にある企業に対しては、直近の事業トレンドを加味した与信判断を行い、リスク相応の融資を実行している。

 カベージのサービスは、さまざまなデジタル化された情報の活用、人工知能の与信判断への活用など、テクノロジー抜きには生み出しえないサービスといえよう。

アクセンチュア 著 『フィンテック 金融維新へ』(日本経済新聞出版社、2016年)第1章「現在:フィンテックとは何か」から
アクセンチュア
 ストラテジー、コンサルティング、デジタル、テクノロジー、オペレーションズの5つの領域で幅広いサービスとソリューションを提供する世界最大級の総合コンサルティング企業。世界最大規模のデリバリーネットワークに裏打ちされた、40を超す業界とあらゆる業務に対応可能な経験と専門スキルなどの強みを活かし、ビジネスとテクノロジーに融合させて、顧客企業のハイパフォーマンス実現と持続可能な価値創出を支援。世界120カ国以上の顧客にサービスを提供するおよそ37万3000人の社員が、イノベーションの創出と、世界中の人々のより豊かな生活の実現に取り組んでいる。

キーワード:フィンテック、経営層、経営、経理、イノベーション、IoT、AI、技術、管理職

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