フィンテック 金融維新へ

急拡大の「フィンテック」、世界で投資競争 アクセンチュア

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 この領域の代表的なフィンテック企業として、全世界1億8000万人以上のユーザーを抱えるペイパル(PayPal)がある。

 ペイパルは店頭のレジ前で財布から現金やクレジットカードを取り出すことなく、手持ちのスマートフォンを使ってキャッシュレス・カードレスで決済ができるサービスを提供する。ユーザーは複数のクレジットカードやデビットカードをペイパルのアプリに登録する。店頭での決済時には、アプリ上で決済に利用するカードを選択し、そのまま支払いができる。

 また、ペイパルでは既存のクレジットカードのようにサインや暗証番号入力を行う必要がない。代わりに、店員が顔写真で本人確認を行って決済を完了することで、店頭での決済に伴う手続きの煩雑さから消費者を解放する。このサービスは利用者の顔写真で決済できることから「顔パス決済」と呼ばれている。

 このサービスは、カード番号など決済に必要な情報をクレジットカードの磁気ストライプ、ICチップに保持するのではなく、顔写真を含めて決済に必要な情報をすべてペイパルが保持・管理することで実現している。

 ユーザーがペイパルのアプリ上で支払いの指示を行うと、店舗に設置してあるタブレット端末に暗号化されたユーザー情報が通知される。ペイパルサイドで顔写真が本人であると確認されると登録済みのクレジットカードへの請求が実行される。店舗にはクレジットカード番号そのものは通知されないため、カード番号を店頭で読み取られるスキミングの被害も防止される仕組みになっている。

融資はP2P化、ビッグデータが新たな融資機会を生む

 融資の領域では、これまで銀行などの金融機関が貸し手の中心を担っていたが、フィンテック企業が提供する融資サービスの登場により、貸し手の顔触れが多様化してきている。

 新たな融資のトレンドとしてキーワードとなるのは、インターネットを介した「マッチング」と、タイムリーかつ高度な与信判断を可能にする「ビッグデータ解析」だ。この二つのキーワードに沿って代表的な事例を見ていこう。

【P2P化:貸し手と借り手が直接つながる】

 個人間でモノ・サービスのやりとりを行うトレンドは、融資の領域にも広がっている。これは、インターネット上で資金調達をしたい個人・企業と、保有資金を有効活用したい個人・企業をマッチングし、貸し手と借り手の当事者でP2Pの融資を可能にするサービスだ。「ソーシャル・レンディング」とも呼ばれる。

 従来、融資サービスの提供者は銀行や消費者金融であったが、P2P型サービスの台頭により個人や企業も貸し手の立場となることができ、融資の裾野が広がっている。

 P2P型の融資サービスを提供する代表的な企業として、2007年設立のレンディング・クラブ(Lending Club)が挙げられる。レンディング・クラブはこれまで110億ドル以上の企業向け融資の実績があり、サービス開始以来、堅調に取引額を伸ばしている。インターネット上で完結するこの融資サービスは、伝統的な金融機関に比して圧倒的に低い事業運営コストを実現している。

 さらに、融資実行までのリードタイムも短く、借り手・貸し手の双方にさまざまなメリットをもたらす。借り手に対しては、低コストの事業運営を低金利融資という形で還元する。さらに、金融機関からの借り入れが難しい個人・小規模事業者に対しても広く借り入れの機会を提供している。また、貸し手に対しては、手数料などを差し引いておよそ8%の利回りを提供している。

 普通預金や定期預金よりも利回りの良い運用商品の一つとして金融資産の有効活用の手段を与えているといえよう。

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