企業価値4倍のマネジメント

「創業者目線」の復活で再生を果たす 火浦 俊彦氏+ベイン・アンド・カンパニー

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意思決定の中身をみせる

 優れたリーダーによって、企業が創業者目線を取り戻した事例はいくつもあります。その事例をご紹介しましょう。

 ある流通企業では毎週、前週に顧客から寄せられたすべての不満や要望について、社長も含めた役員全員が経営会議の時間を使って目を通します。そして、必ずその会議中に対応方針を出し、さらに、その意思決定を全社員に公開します。

 その行動の発想の原点にあるのは、問題は顧客起点でその場で解決するという姿勢です。社員にその決断を公開することで、真に顧客に向いた意思決定をしているか、リーダーの姿勢を示すことになり、リーダーにも緊張感をもたらします。

 顧客のために今解決すべき問題を先延ばししないというのは、「創業者目線」の一例でしょう。

 ある製薬企業では課題ごとに意思決定者を明確に定め、社長とその意思決定者、そして意味あるインプットができる人で基本的に意思決定を行います。迅速な対応を求められ、経営会議を待てない場合には、これらの関係者で意思決定をしてしまいます。

 その場合、経営会議メンバーには事後承認という形になるそうです。これは官僚化した企業の意思決定とは大きく異なります。

 官僚化した企業ではボトムアップで関係者と調整しながら、最終的にトップの判断を仰ぐというところが多いのではないかと思います。そのやり方の問題点は時間がかかることですが、その根本原因は意味あるインプットができる人以外の意見が入って右往左往する点です。組織の上位者であるから正しい意見があり、正しいインプットができるわけではないのですが、官僚化した組織では組織内での階層とインプットの質がイコールになってしまうのです。

 正しい判断をするためには、組織の所属や階層にこだわらず、意味あるインプットができる人が関与して素早く意思決定するというのも「創業者目線」の事例でしょう。

 このように、リーダーの行動や意思決定の中身を組織内に繰り返しみせることで、「創業者目線」は社内に浸透していくのです。

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