企業価値4倍のマネジメント

「創業者目線」の復活で再生を果たす 火浦 俊彦氏+ベイン・アンド・カンパニー

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仕組みによる管理や社員のメンツが官僚化を生む

 ここでは、企業が創業者目線を喪失し、官僚化していく理由を考えます。

 ベインではこの創業者目線について、世界各国の企業を調査しています。新興国で急成長している企業、失われた創業者目線を再度取り戻し復活した成熟国の大企業などの事例を研究し、創業者目線の維持や企業再生のアプローチをまとめています。

 新興成長企業の創業者とのインタビューを通じて、企業が官僚化するいくつかの要因が明らかになってきました。

 第1は、売上が人材の成長を上回るスピードで成長するという点です。

 人材の育成が追いつかなくなると、その人材不足を補うさまざまな仕組みやマニュアルが導入され始めます。マニュアルの導入も、当初は書かれている業務をなぜやらなければいけないか、企業理念とどのような関係があるかについて説明されていることが多いのですが、次第に単なる行動指示書になってしまいます。仕組みの管理に注意が向き、創業の理念がすみに追いやられます。

 第2に、企業が成長すると、創業時には難しかった優れた人材の採用ができるようになります。

 それ自体は決して悪いことではないのですが、ある新興企業のオーナーが面白いコメントをしています。「優秀な人材はお互い気をつかって中途半端な妥協をするようになる」。創業時は、創業者が圧倒的に強いということもあり、顧客の信頼を獲得し、競争に打ち勝っていくために、社員のメンツなどは二の次でしょう。現場の従業員はもちろん大事ですが、勝つための意思決定にメンツ論を持ち込むことはなかったでしょう。

 しかし、皮肉なことですが、優秀な人材が獲得できると、プライドを傷つけないように対立を回避し、中途半端な意思決定をしてしまうことがあります。

 会議になるとお互い口を出さないということが起こっていないでしょうか。専門外のことには口を出さないと建前では言いますが、実は自分の分野に口出しされたくないがゆえに、自分も口を出さないというのが本音ではないでしょうか。プライドを気にして、妥協や不干渉が起こるのです。

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