企業価値4倍のマネジメント

「創業者目線」の復活で再生を果たす 火浦 俊彦氏+ベイン・アンド・カンパニー

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 今回は「創業者目線の復活」をテーマに、日本企業の再生について述べていきます。なぜこのテーマを掲げたかといえば、日本企業の競争力を奪ってきたのは、「創業者目線」の欠如、いわゆる企業の大企業病化や官僚化だと強く思うからです。

企業が創業時に持っていた行動様式を取り戻す

 他人事としてとらえる、自らの責任領域を狭く定義してその中での責任にとじこもる、責任を細分化してシェアすることで誰が責任をとっているのかが不明瞭になる――。このようなことがよく起こっていないでしょうか。

 創業者が会社を立ち上げた時のことを想像してみましょう。創業者は自らの製品やサービスを心から愛し、これを日々より良いものに高め、競争相手を打ち負かし、顧客に選ばれることだけを考えていたでしょう。

 問題解決の場は現場でした。問題が発生すれば、その場で関係者全員を集めて知恵を出し、結論を出したでしょう。

 顧客に喜んでもらい競合に勝つためには、全社員が喜ぶような中途半端な解決ではなく、容赦なく優先順位をつけたでしょうし、結果的に社内の誰かを否定したかもしれません。ただ、中途半端な解決をすることが存亡の危機を招き、社員が不幸になることは誰より創業者がわかっていたはずです。

 一方、創業者は現場で日々競争に明け暮れる社員を限りなく大事にしたと思います。現場には志高く、強く、優れたリーダーがたくさんいました。しかし、会社が大きくなるにつれ、グローバル経営の名の下にさまざまなツールや仕組みが導入され、その仕組みに会社が動かされるようになってはいないでしょうか。

 月に数回開催される経営会議に事前調整を経た多くの議題が出され、今日解決しなければならない重要課題が他の課題に埋もれ、結論が出るのはさらに後というような事態になっていないでしょうか。

 視線が顧客ではなく社内を向き、「倍返し」のようなことが社内で横行してはいないでしょうか。

 「創業者目線」とは創業者自身を指す言葉ではなく、企業が創業の時に持っていた行動様式を指します。その行動様式を取り戻すことが日本企業再生の鍵だと考えます。

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