企業価値4倍のマネジメント

「真実の瞬間」となる顧客接点を見極める 火浦 俊彦氏+ベイン・アンド・カンパニー 

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顧客フィードバックへの対応策は現場と一緒に考える

 フィードバックを現場に伝えるだけで、適切なアクションが必ずとられるとは限りません。個々人の感度にはバラつきがあり、個人でできる打ち手も限られているからです。現場に顧客ロイヤルティ指標の数値の低さを指摘するだけだったり、対策を丸投げしたりすると、本来の目的が失われ逆効果となる恐れもあります。

 たとえばある企業では、数値を上げるために良い評価をもらえそうな顧客のみに調査を行っていた支店がありました。またある企業では、低いスコアをとがめられることを恐れた「○○恐怖症」という言葉が、現場でささやかれるようになってしまいました。

 こうした状態を防ぐには、スコアそのものに焦点をあてすぎないことが重要です。それよりも対策案を現場と一緒に考え、すべきことができていない場合はその理由を共に考えます。顧客のフィードバックを生かしてより効果を上げるには、組織内でのコーチングや学習を促進する仕組み・仕掛けが不可欠です。

 ある日本企業ではNPS導入を機に、顧客フィードバックへの対応を考えるための上長と営業担当者の面談を行うことにしました。

 しかし最初の頃は極めてぎこちなく、日頃こういった話し合いをしていないことが一目瞭然だったのです。コスト削減で営業社員数が減り、管理職自らも担当顧客を持ちすぎていたため、部下とのコミュニケーションが常に後回しになっていたことなどが原因でした。また、顧客への直行直帰が増え、朝会なども不定期で、組織全体のコミュニケーションが薄れていたのです。

 そこで上司と部下の面談や支店内でのワークショップなど一緒に考える「場」を設定し、最優先としました。顧客のフィードバックを起点として組織内のコミュニケーションを大幅に増加させた結果、この支店は大きな成果をあげました。

 NPSを仕組みとして活用する上では、こうした一連の流れを「フィードバックループ」と呼び、現場活性化の手段として最重視しています。面談・コーチングや「場」を取り仕切り効果的に進めるスキルなどは、繰り返し行うことで向上します。

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