企業価値4倍のマネジメント

「真実の瞬間」となる顧客接点を見極める 火浦 俊彦氏+ベイン・アンド・カンパニー 

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フィードバックで現場を活性化させ、顧客志向を企業文化にする

 顧客志向を企業文化とするには、顧客接点の担当者、つまり現場の活性化が極めて重要になります。

 その重要な仕掛けの1つが、顧客の生の声を現場に直接、迅速にフィードバックすることです。厳しい内容も当然ありますが、実体験なのであれば言い訳はできません。

 逆に推奨者からの前向きなフィードバックは、現場のモチベーションを大いに向上させます。企業側では気づかなかった自社の製品やサービスの強みに気づかされることもあります。

 簡単に聞こえますが、こういうやり方をしている日本企業はまだ多くないように思います。散見されるのは、カスタマーサービスなどの部署が調査結果を分析し、かなり時間が経過した後、内容を丸めた形で報告するというケースです。

 たとえば調査の2カ月後に「あなたの支店のNPSは20%で、批判理由で多いのは○○と○○でした」と報告するケースでは、現場は実感として受け止めるのは難しく、どう対応すればよいのかわかりません。

 大事なのは、現場が対応した顧客の顔を思い浮かべられるような時間軸で、顧客の声をそのまま現場に伝えることです。

 ところが、フィードバックすると現場のモチベーションが下がると懸念する日本企業が多くあります。日本人は一般的に「他者からフィードバックをもらう・与える」ことに慣れていないのかもしれません。フィードバックすなわち「批判」と受け止めがちな傾向があるように思います。

 実際には、顧客からの前向きな評価は現場のモチベーションを確実に上げます。ある保険会社では、顧客の声を現場に伝える頻度を増やすことで、NPSのスコアが改善しました。また、顧客からの手書きコメントをデータ入力し直していたのを、手書きのままスキャンして現場と共有するようにしたところ、効果がさらに上がったそうです。手書きの文字を見ることによって、より頭ではなく心で顧客を理解するようになったとも考えられます。

 顧客のフィードバックは企業の最大の資産です。現場を含めた組織全体でタイムリーに共有できるような仕組みづくりが肝要です。

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