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誰でも「心を奮い立たせる」リーダーになれる 火浦 俊彦氏+ベイン・アンド・カンパニー

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 周りの人の「心を奮い立たせる」力は現代の職業人として誰もが身につけるべき能力になるでしょう。しかし、この能力は、今まで体系立てて考えられてきたことがほとんどありません。根付かせていくには、リーダーシップ開発やリーダーシップ自体についての認識を根本的に改める必要があります。

卓越した要素1つでもいい

 「心を奮い立たせる」リーダーシップの鍵はいったい何なのでしょうか。また、それはどうやって身につければいいのでしょうか。

 その要件を見極めるために、我々は心を奮い立たせるリーダー像の類型化を試みました。広く世の中のリーダーについて調べ、彼らの何が人の心を奮い立たせるのか、インタビューを通して洗い出していきました。

 第1の発見は、「心を奮い立たせる」リーダーが、名の通ったビジネス界のカリスマや、ノーベル賞受賞者など優れた業績を残した人に限られないということです。むしろ、我々は日々の生活や仕事で関わりのある周囲の人々から刺激を受け、心を奮い立たされています。

 2つ目の発見は、「心を奮い立たせる」リーダーに共通する唯一絶対の特性はないということでした。心を奮い立たせる要件を絞り込んだところ、自己実現やコミュニケーション力など、30前後の異なる要素が見つかりました。

 我々はそれらをいくつかに大別しましたが、そのどれか1つでも卓越していれば、周囲の心を奮い立たせることができるとわかっています。

 すなわち、「心を奮い立たせる」リーダーに共通しているのは、自分が得意としている特定要素に卓越している、というその一点だけなのです。卓越している要素は、個々人によって大きく異なります。

 これは、日本文化におけるリーダーシップモデルを考える上で示唆に富んでいます。「心を奮い立たせる」といってまず思い浮かぶのは、米国企業の最高経営責任者(CEO)のように自らが積極的に表舞台に立ち、スポットライトの中で人々を魅了するリーダーシップモデルでしょう。しかし、我々の調査結果はそれが唯一のモデルでないことを示しています。

 たとえば、謙虚さや協調性に依拠した「心を奮い立たせる」リーダーシップモデルもありえるのです。それは、日本人が伝統的によしとしてきた「背中で語る」モデルがありうるということです。

 ただしそれを実現するためには、謙虚さや協調性について圧倒的に他者より卓越していなければなりません。

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