企業価値4倍のマネジメント

「絶対に勝つ」べき市場で敵を圧倒する 火浦 俊彦氏+ベイン・アンド・カンパニー 

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 持続的に差別化し勝つために戦う場所を戦略的に狭く深く定義するわけですから、決めた場所では必ず勝たなければ意味がありません。しかも僅差ではなく圧倒的に勝ち、そこで得られるリターンを最大限獲得し、顧客にも最善の便益を提供しなければなりません。そのために必要な視点がフルポテンシャルです。

 フルポテンシャルを追求する上では、戦略、オペレーション、組織、財務の各側面でいくつかの論点が存在します。(1)規模の拡大、(2)人材の獲得・配置、(3)売上の最大化、(4)コスト競争力の最大化、(5)業績把握指標の合理化、(6)必要な能力や知見の獲得、(7)意思決定力の向上、(8)企業文化改革、(9)株価対策、(10)運転資本政策、(11)資産・負債バランス最適化、(12)設備投資の最適化、の12点です。これらのいずれをも所与とすることなく、注力する事業領域で圧倒的な地位を獲得するためになすべきことを検討するのが、フルポテンシャルの視点です。

 昨今の上場企業が経営計画の中で掲げる目標値を平均すると、市場平均の2倍の成長率、4倍の収益性の実現が、その目指す水準です。市場平均の水準にもよりますが、高い目標と言ってよいでしょう。一方、社長や役員の平均在任期間はかつての半分以下となり、株主の平均株式保有期間は20分の1以下になっています。

 それだけ短期間で結果を出すために、これらの戦略的論点のほとんどを所与として、過去の延長で打てる手を考えがちですが、それでは掲げた高い目標に到達できません。どこから手をつければよいか、次項以降で考えていきましょう。

他社との相対的なポジションによって戦い方を変える

 最大限到達可能な市場ポジションおよびその結果としての経済性や企業価値を意味る「フルポテンシャル」の実現に向けて、規模や売上の拡大を優先すべきか、コスト競争力や収益性強化を優先すべきか。これは競争上の地位(すなわち市場シェア)と他社との相対的な収益性の高低によって決まります。

 競合他社との相対的な累積経験量* の差は自社にコストやノウハウ、顧客基盤の優位性をもたらし、事業への投資可能なキャッシュを創出するとともに事業の投資リターン(ROI)を高めるため、他社には追随できない経済性を生み出します。

 言い換えれば、事業を正しく定義した場合、その業界内における各社の収益性はその相対市場シェア(業界1位のプレーヤーはその売上高を2位プレーヤーの売上高で割った値、業界2位以下のプレーヤーはその売上高を1位プレーヤーの売上高で割った値)に比例するのです。

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