企業価値4倍のマネジメント

「絶対に勝つ」べき市場で敵を圧倒する 火浦 俊彦氏+ベイン・アンド・カンパニー 

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 確かに、製品やサービスにまったく差別化余地のないコモディティ品の場合は、いかに幅広く顧客をカバーするかが勝負になるかもしれません。しかし、ほとんどの業界では製品仕様や技術・特許、導入支援、取引条件、オペレーション、アフターサービスなどで差別化の余地があり、求められる差別化の方向性は顧客のニーズや行動特性によって異なります。そのため、「絶対に勝つ」領域を戦略的に定めてそこにこだわることが、より顧客や市場の特性に合った形での差別化と他社に対する参入障壁の構築につながるのです。

 たとえば建設業は大手、準大手、地方事業者といった階層を超えた競争が難しく、一方で同じ階層の企業同士では一見差別化が難しいとされてきました。そんな中で、大手でない企業が体力や累積経験量に勝る大手ゼネコンと戦って勝つためには、小売や物流などの特定業界に集中することでそれに適した工法や用地開発、設計提案や営業提案の力をつけ、かつその分野では大手に負けない実績を持つことが1つのアプローチです。

 逆に大手であっても、たとえば家電業界のように、各製品分野で世界各地に薄く広く販路を広げていった日本勢は、いずれの地域・製品領域でも3~4番手にとどまってしまい、北米や東南アジア、インドなどに戦略的にフォーカスしてきたサムスン電子などの後発プレーヤーに追い越されてしまいました。国内において、総合スーパーという業態が衰退し、カテゴリーキラーに席巻されていったのも同じ現象です。

 鍵となるプロフィットプール、鍵となる顧客セグメントでは、徹底的にリーダーシップを追求すること、そのために必要な自社のケイパビリティを磨く(あるいは獲得する)こと―それが持続的な成長戦略を描く上での大きな前提となるのです。

圧倒的な地位、フルポテンシャルを追求する

 自社が「絶対に勝つ」べき領域を決めたら、そこでの最大限の成長、すなわち「フルポテンシャル」を追求することを前提に、どこから手をつけて、いつまでにどうやってそこへ至るかを考えなければなりません。

 「フルポテンシャル」とは、組織や人材、オペレーション、財務状況などの内的な制約条件を脇に置いて、市場や競争環境などの外的条件を踏まえた上で、最大限到達可能な市場ポジション、その結果としての経済性や企業価値を意味します。

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