企業価値4倍のマネジメント

「絶対に勝つ」べき市場で敵を圧倒する 火浦 俊彦氏+ベイン・アンド・カンパニー 

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 結果を出し続けるマネジメントは、どこが違うのか、何をやっているのか――。世界有数の戦略コンサルティング・ファームであるベイン・アンド・カンパニーが実践してきた経営の「定石」を紹介していく。1回目は「絶対に勝つ」べき市場を定め、圧倒的な地位を追求するための戦略を探る。

「戦略的手抜き」でターゲットを絞る

 「どこで戦うか」を決める上でプロフィットプール(※1)の考察と並んで重要なポイントが、顧客セグメンテーション(細分化)です。

(※1)当該事業に参入するすべてのプレーヤーの利益額の総和で、市場規模を売り上げではなく利益で表したものと言うこともできます。現状分析や過去のトレンドだけでなく、将来的にどう変化するかを深く考察することが特に重要です。

 法人でも個人でも、すべての顧客はそのニーズ、動機付け、購買行動などにおいて異なります。顧客セグメンテーションは、共通の特徴を持つ顧客のグループを特定し、市場や売上を細分化するために用いられる手法であり、「どこで戦うか」をより具体的にする上で不可欠な考察です。

図表1 顧客セグメンテーションのアプローチ

出所:ベイン・アンド・カンパニー

出所:ベイン・アンド・カンパニー

 特定された複数の顧客セグメントの中から、セグメント自体の魅力度(大きさ、成長性、収益性)と、自社が差別化された方法で攻略できる可能性とを総合的に判断して、自社として注力すべきターゲットセグメントを特定します。それが定まったら、自社の位置付けと訴求価値(バリュープロポジション)を決定し、それに沿った資源配分と開発・営業などの活動を展開します。

 限られた経営資源を有効活用し高いリターンをあげるために、ターゲットとする市場や顧客の理解・開拓・維持に資源を集中させ、その他のセグメントは自然体で応じる、いわば「戦略的手抜き」をすることが、顧客セグメンテーションの目的です。逆にこうした優先順位づけなく、営業やエンジニアの専属化、製品のカスタマイズ、リードタイムの短縮、保証の拡大など、異なるニーズのすべての顧客の要求に応じていると、売上は拡大しても利益はいっこうにあがらない、ということになりかねません。

 実際、日本企業の多くが低収益性に苦しむ1つの大きな要因は、ターゲットとする顧客セグメントを明確にせず、特に国内のすべての顧客ニーズに対応しようとした結果、製品やサービスの数が膨大になって量産効果や累積経験学習効果が得られず、一方でグローバルに通用する基幹製品が育たなかった、という点にあります。

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