企業価値4倍のマネジメント

社員の心を奮い立たせる力を身に付ける 火浦 俊彦氏+ベイン・アンド・カンパニー 

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 これはベインの行った調査でも定量的に確認できています。他者から心を奮い立たせる能力が高いと評価された「心を奮い立たせる」リーダーと、評価が低かった「心を奮い立たせられない」リーダーの下で働いたチームの満足度を比べた結果、「心を奮い立たせる」リーダーの下で働いたチームの満足度は64%だった一方、「心を奮い立たせられない」リーダーのチームの満足度は35%でした。また前者のチームで退職を考えたことがある人は19%でしたが、後者では42%に上りました(図表1)。

図表1 心を奮い立たせるリーダーの下で働く従業員は、満足度や献身度が高く、生産性も高い上に、離職率は低い

出所:J. H. Zenger、Joseph R. Folkman、Scott K. Edingerによるリーダー分析(N=41,436人)、ベイン分析

出所:J. H. Zenger、Joseph R. Folkman、Scott K. Edingerによるリーダー分析(N=41,436人)、ベイン分析

 この調査は世界各国の企業に対して行いましたが、日本企業に限っても同様の結果が得られます。また松下幸之助氏や本田宗一郎氏の伝記をひもとけば、彼らのような「心を奮い立たせる」リーダーの下、いかに優秀な人材が集まり、企業の成長と自らの夢として献身的な働きをしたのかも明らかだと思います。

 「心を奮い立たせる」リーダーシップは、時代や文化を超えて有効なリーダーシップモデルです。ただし、その抽象性ゆえに、それを明文化して企業のリーダーシップのモデルの中に組み込む努力がなされてきませんでした。現実的にも、企業にとってリーダーシップのモデルを一から作り直すのは大変なことです。

 課題は、昨今の事業環境で必要とされている「心を奮い立たせる」要素を加えながら、いかに現行のプログラムの良い要素を残していくかという点でしょう。

火浦 俊彦+ベイン・アンド・カンパニー編 『企業価値4倍のマネジメント』(日本経済新聞出版社、2016年)第5章「社員の心を奮い立たせる力を身につける」から
火浦 俊彦(ひうら としひこ)
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン会長 兼 パートナー。
東京大学教養学部卒業、ハーバード大学経営大学院修士課程(MBA)修了。日本興業銀行を経てベインに参画。25年以上にわたりさまざまな分野において、日米欧の企業に対するコンサルティング活動に携わる。直近では企業のM&Aに数多く関係し、企業の統合支援にも深く関与。主な著書に『リピータビリティ』(訳、プレジデント社)『M&A賢者の意思決定』(訳、ダイヤモンド社)『勇気あるトップが企業を変える』(共著、ダイヤモンド社)がある。

ベイン・アンド・カンパニー
1973年米国ボストンで創設、現在世界34カ国に53拠点のネットワークを展開している世界有数の戦略コンサルティングファーム。クライアントとの共同プロジェクトを通じた結果主義へのこだわりをコンサルティングの信条としており、結果主義の実現のために、高度なプロフェッショナリズムを追求するのみならず、きわめて緊密なグローバル・チームワーク・カルチャーを特徴としている。

キーワード:経営、企画、経理、経営層、人事、人材、営業、マーケティング、管理職、ものづくり

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