AIはあなたのビジネスをどう変えるか

AIは技術と経営を橋渡しするツール ペンシルベニア大学・ビジェイ・クマール学部長 × ドリームインキュベータ・山川隆義社長 対談

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山川 このような新たな技術のトレンドを、ビジネスに応用するためにはどうしたらいいのかについて、議論したいと思います。

 私が思うに、ビジネスパーソンはコンピューティングやデータなどの技術的な側面については、必ずしも深い知識があるわけではありません。研究者も技術をどのようにビジネスに応用すれば世の中に一番インパクトを与えることができるのか、知見があるわけではありません。技術の進歩とビジネスへの応用には常にギャップがあるわけですが、このあたりいかがでしょうか。

AIはあくまで確率を教えてくれるツール

ビジェイ・クマール学部長

ビジェイ・クマール学部長

クマール ビジネスパーソンが、データを用いて意思決定を行う、という状況を考えてみましょう。そのためには、「確率とはなにか、AIやデータとはなにか」ということに関して、基本的なことを理解する必要があります。

 まず、理解しなければならないのは、AIが教えてくれるのは、あくまでデータをもとにした確率と予測だということです。その上で、人間がデータと確率から物事の因果関係を考え、プランを決定し、行動に移さなければなりません。

山川 AIが教えてくれるのは、あくまで「確率」であって、「答え」ではないということですね。正確なデータと確率に基づいて、実際に物事がどのようなメカニズムで動いているかをモデルとして人間の側で把握しないと、意思決定を行うことはできません。

クマール その通りです。AIはあくまでツールでしかありません。

山川 非常に興味深い話だと思います。われわれは今まで、ノウハウや過去の経験に基づいて意思決定を行ってきましたが、現在、膨大なデータと正確な確率が手に入る状況が急速に生まれつつあります。この大量のデータと、それを用いた意思決定の間のギャップを乗り越えるためには、どうしたらよいのでしょうか。

クマール まず、人間の知恵の代わりになるものは存在しません。よって、それをうまくモデルに落とし込み、データによるアプローチと組み合わせることが必要です。

 データによるアプローチは、データのみに基づきます。一方で、それとは別に、人間はさまざまな領域で「モデル」というものを構築し、うまく利用してきました。例えばロボティクスは物理学というモデルを利用しています。

 データによるアプローチが新鮮であるのに対して、このようなモデルによるアプローチは古くて退屈だと思われるかもしれません。ただ、私はこのモデルとデータの2つのアプローチが組み合わせられるべきだと考えているのです。

 そのために、私たちは学ぶことをやめる余裕なんてありませんし、どうやってデータを意思決定に生かしていけばいいのかを理解していく必要があるでしょう。

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