近年、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット化)、ロボティクスなどの新たな技術のトレンドが生まれ、ビジネスの世界に変革が起きつつある。この流れに取り残されないためにも、日本の大企業は、世界中のカッティング・エッジな人々と付き合いながら、最先端の技術にキャッチアップしていかなければならない。
その際に日本企業は、以下の3つのギャップを乗り越える必要がある。
(1) | 技術と経営 |
(2) | 日本と米国(海外) |
(3) | オールド・エコノミーとニュー・エコノミー(自前主義vs.集合知) |
この3つのギャップの乗り越え方について、AIとドローンの世界的権威であり、産学連携にも積極的に取り組んでいる、ペンシルベニア大学工学応用科学部のビジェイ・クマール学部長と、株式会社ドリームインキュベータの山川隆義社長が対談を行った。その内容を3回にわたってお伝えする。
最先端の技術をビジネスに応用するには
山川 AIの発展は、コンピューティングパワーの向上とネットワーク環境の進化など、様々な技術の発展がベースとなって起こった大きなうねりであると思うのですが、このインパクトについて、どのようにお考えでしょうか。
クマール AIについて考えるためには、まず、その背後にある2つの技術的なトレンドについて考えなければなりせん。まず1つ目に、コンピューティングのパワーが毎年2倍になり続けています。ムーアの法則が終わりを迎えつつあるものの、次の5年の間にコンピューティングのパワーは現在の約30倍に成長すると考えられています。
2つ目は、データ量の爆発的増加です。2020年にはデータ量が2010年の50倍に増加することになります。この大量のデータから、使える情報を生み出して、ビジネスの世界に変革を起こそうという動きが生まれています。AIやディープ・ラーニングなども、こうした流れの中で脚光を浴びているのです。
出所:産業構造審議会 新産業構造部会のフォローアップ会議Kumar氏プレゼンテーション資料