マネジメント対談

中国古典と軍事理論に学ぶ経営組織学 守屋淳氏×田中靖浩氏 トークショー

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田中 気質ってあるでしょうね 日本人、米国人という以前に、すべての個人にあるでしょうね。ゴールに向かいたい人、ふらふらするのが好きな人 きちっと予定を立てて、それを実行する人......。例えば、旅行先で「この店で絶対パンケーキ食べる」と決めたら譲らない女性がいるじゃないですか。計画を立てないと気がすまない人。でも、予定通りじゃなくても、いいじゃないですか。それを楽しめるかどうかだと思います。

田中靖浩氏

田中靖浩氏

 守屋さんとの出会いでありがたかったのは、勉強会などに参加させていただき、「オチがなくていいんだ」と悟ったことです。かなり衝撃を受けました。会議では普通、やはりオチを求めますよね。1時間会議したら、結論出さないと気持ちが悪い。何のために集まったのか皆気にするので、「今日の会議の成果はこれです」とか、「次回までに、これを考えましょう」と言います。いつのまにか、これが常識になっていたんだな、と気づいたんですよ。言いっ放しでもいいんだと発見しました。守屋さんの勉強会で学んだことです。

 オチを作ろうとすると、逆に本来目指すべきところから遠ざかります。一生懸命集中してアイデア出そうとするときなど、全く浮かばない。諦めてほかのことを考えているときのほうが、かえって「降ってくる」のです。物作りの具体的なことはともかく、「アイデアをを1時間で1人10個出しましょう」と難しい顔して考えこんでも、ぜんぜん出てこない。そういう意味で、人生の重大なヒントをいただきました。私は落語が好きなので、本当はオチをつけたくなるのですが。

守屋 話をうかがっていて、私が「ヤオイ系」だというのがよく分かりました。

田中 え、何ですか?

先生は良い「答え」より良い「疑問」を求めよ

守屋 「ヤマなし、オチなし、意味なし」です。で、実は勉強会については、1つ考えがあります。私の東洋史の師匠にこういうこと言われたんですね。「普通の先生は普通の生徒に答えを持って帰ってもらう」けれど、「良い先生は良き生徒に疑問を持って帰ってもらう」と。本当にその通りだと思います。今、答えというのは、どこでも手に入ります。ネット検索でも。あともう1つ言えるのは、今は答えがどんどん変わる世界にあるということです。

 先日、『経営戦略全史』の著者の三谷宏治先生とトークイベントをしたのですが、こんな面白いこと言われました。今、人間がAIに将棋や囲碁で負けてるじゃないですか。でも、人間が勝つのは簡単なんだそうです。それは1カ所ルールを変えればいい。そうするとAIは学習し直さなければならない。その間、人間は勝てるとのこと。追いつかれたらまたルールを1カ所変える。これで延々人間は勝ち続けるとおっしゃっていました。

 それで、思ったのですが、今の私たちは人生やビジネスで、そうなってしまっていると。オンリーワンになった方が儲かるので、どんどんルールをずらしていくのです。答えがどんどんずれていく世界なんですね。そういう状況では、答えを追っていくのも1つの方法ですが、それよりも良き疑問を抱いて、その疑問から魅力をくみ出すのが絶対的な強みになるのではと思いました。

田中 そうですよね。もう、答えを先生から教わるという時代ではないです。私が好きなアインシュタインの逸話ですが、彼が大学で教えているとき、去年と同じ問題を出したら、助手が気づいて「大丈夫ですか、去年と同じ問題ですけど」と聞いたことに対して、「大丈夫、なぜなら答えは去年と違うから」と返したそうです。状況次第で答えは変わるということですね。

守屋 それはまさしくOODAですよね。

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