マネジメント対談

中国古典と軍事理論に学ぶ経営組織学 守屋淳氏×田中靖浩氏 トークショー

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米国人は自由がないのがストレス、日本人はあるとストレス?

守屋淳氏

守屋淳氏

守屋 以前、田中先生からお聞きしたことで、日米両国で活躍している精神科医が「米国人と日本人はストレスの感じ方が違う。日本人は自分で決めなきゃいけないときにストレスを感じ、米国人は自分で決められないときにストレスを感じる」と話していたということを思い出しました。その意味では、日本人は自分で決める自由を広げるとストレスになっちゃうということですね。

田中 私の知り合いのその精神科医が言うには、リーマンショック後、日米ともにビジネス界でうつ病が増えたそうです。しかし 日米でストレスの感じ方が違うというのですね。米国人は、社内で内部統制が強まったことで自由度がなくなったことに対して猛烈にストレスが増えたと。「本当は客のためにこうやりたいのに、組織がさせてくれない」といったストレス。一方、日本人は全く逆。会社をやめて中小企業の社長になった男性が、ストレスをためている。出勤時間も取引先も全部自分で決めることができるわけですが、それでストレスを感じてうつ病になっちゃう。日本人は、普段会社で「きちっとやれ」と言われれば、一応文句は言いますが、実はラクなことなんです。誰かが自分の行動を決めてくれるって。

 だから、その先生が言ってましたよ。日本人でその手のストレスがある人は、海外旅行に行かせちゃダメって。海外は自由度が高く、思った通り電車やバスが来ないってしょっちゅうですよね。自分で決めなきゃならない状況が増えるため、病状が悪化するらしいです。「じゃあ、そういう人はどうやってストレスを発散するんですか」と聞いたら、「熱海とか箱根しか、行っちゃいけない。熱海や箱根は思った通りになりますから」とのこと。なるほどと思いました。

守屋 それって日本人はPDCA体質になっているということですか?

田中 そうなんですよ。日本人はP(計画)が大好き。目標をクリアするのが楽しいのではないでしょうか。仕事もゴルフも人生も。

守屋 そうなると、OODAは日本の組織になじみにくい?

田中 そうすると、私の本も売れないですねー。困りましたねー(笑)。

守屋 いやいや、売れてるじゃないですか(笑)。

田中 自分で自分を律するって難しいですよ。人からスケジュールやお金を律してもらうぼうがラクです。私も早い段階で独立したから やっぱり不安でした。20代だから堪えられたものです。20~30年続けてきて、やっと自信がつきました。不安定でもこんなに生きてこれたという自信です。成功を積み重ねてきた自信とはちょっと違いますが。

守屋 似た話があります。私は渋沢栄一記念財団で読書会をやっているんですが、そこではワールドカフェ方式といって、お互いによく知らない人同士が小さいグループ作って話をします。お互いに知らない人同士なので、話がどこに行っちゃうか分かりません。でも、それこそが学びなのだと、最初に説明します。

 ○月○日、どこどこへ行って、ここも見ます、あそこも見ます、と最初からP(計画)があり、予定通り経験できてよかったねという団体旅行に対し、ワールドカフェ方式は、いわばバックパッカー旅行です。どこに行くか分からない、面白いかもしれないし、つまらないかもしれないが、そこに「学び」がある。終わってみると、「全く学びがなかった」と苦情を呈する人もいれば、「すごく学びが得られました」という人もいます。やっぱり、PDCA向きの人とOODA向きの人に、分かれちゃうんでしょうか。

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